取組概要
兵庫医療大学(神戸市中央区、学長・藤岡 宏幸) 薬学部 助教の神田 浩里(ひろさと)、兵庫医科大学(西宮市、学長・野口 光一) 解剖学 主任教授の野口 光一、アラバマ大学バーミングハム校 ジャングオ・グー教授らの研究グループが、神経線維の活動電位における新たなメカニズムを解明しました。
成果
神経線維を電気が伝わるメカニズムは、生物学において根本的かつ非常に重要であり、これまではノーベル生理学・医学賞を受賞したアラン・ロイド・ホジキン博士が発見した神経の電気的興奮のメカニズムが定説とされてきました。しかし、今回の研究で、プレッシャークランプとパッチクランプを合わせた新たな手法を用い、哺乳類の有髄神経のランビエ絞輪部※1では、この定説と異なることを発見しました。
神経線維が電位依存性のカリウムチャネルに依存せず、「K2Pチャネル(two-pore型カリウムチャネル)」を使用して効率よく伝導していることを発見したのは世界で初めての事です。
この伝達メカニズムとK2P受容体の役割を解明したことにより、これまで難治性とされてきたギラン・バレー症候群や多発性硬化症などの脱髄性疾患に対する新たな治療薬の創薬に繋がることが期待されます。
※1.神経線維を覆う2つの絶縁性の鞘の間のスペースの事で、電気的興奮が隣のランビエ絞輪まで飛ぶように伝わる跳躍伝導を起こす部位