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東京都

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研究

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他大学, その他

東邦大学

超微粒子原子核乾板によるナノスケールの素粒子反応検出技術と方向感度を持つ宇宙暗黒物質の探索研究

2020年11月2日

取組概要

本研究は、独自に開発した特殊な写真フィルムの一種である超微粒子原子核乾板(通称、NIT)と呼ばれる粒子飛跡検出器を用いた宇宙構造の解明において最重要課題である暗黒物質の実験的な直接理解を目指し、これまで世界的に実現できなかったナノスケールの粒子飛跡検出による暗黒物質の方向異方性情報を用いた探索実験の推進と実現を目的としている。NITは、世界で最も高い空間分解能を誇る粒子飛跡検出器であり、光学、結晶学、物性物理学さらにコンピューティングサイエンス等のさまざまな知見と技術を融合させた新たな手法よって、方向感度を持って暗黒物質の信号検出に挑む国際共同研究であり、本研究代表者である中がそれらの開発をリードし、プロジェクトのコーディネーターを務めている。

成果

本研究は、まず超微粒子原子核乾板と呼ばれる特殊な写真フィルムを独自に開発・製造することを可能にし、さらに、現在、さまざまな用途(ニュートリノ実験、ミュー粒子による非破壊構造物観察等)で用いられる原子核乾板デバイスの独自製造を可能にし、世界的に普及させるための基盤構築を行った。また、素粒子物理学においてこれまで不可能であったナノスケールの飛跡検出技術(ナノトラッキング)を初めて可能にした。その過程で、プラズモン共鳴現象による超解像顕微鏡技術や高いγ線弁別能を有する中性子検出技術などの新たな技術提案と実装を行い、当該研究だけではなく、新たな顕微法への応用や放射線計測、これまでにない高い解像度を誇るイメージングデバイスとして、海外研究機関や国内企業・研究機関からの共同研究や技術提供の依頼をこれまで複数受けている。

本研究は今なお発展途上であり、さらに新たな技術を組み合わせて暗黒物質の正体解明を可能にするレベルまで技術を磨きながらイタリア・グランサッソ国立研究所にて本格的な実験展開を図っていく。また、その過程で、世界的に非常にユニークな実験技術や新たな視点が生れているため、本研究に限らず、さまざまな研究へ波及させることを考えている。また、本研究は、素粒子物理学研究でありながら、多様な分野の知見を活用していることから、これまでにはない新たな分野融合による学術研究の創出も進めていきたいと考えている。


※この取組は、提言・事例集『私立大学理工系分野の研究基盤の強化と向上-科学技術イノベーションの推進に向けて-』で紹介した研究事例です。
詳細等は関連リンクをご覧ください。

関連リンク

https://www.shidairen.or.jp/topics_details/id=2822