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東京都

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取組内容

研究

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他大学

早稲田大学

資源循環型社会構築のための革新的分離技術開発

2020年7月9日

取組概要

限られた資源を低環境負荷に活用しながら便利な暮らしを享受することは人類の果てない望みであり、国連が提唱するSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)にもその重要性が明示されている。しかし、理想の資源循環型社会を構築するためには社会システム的にも技術的にも多くの課題がある。本研究では、その技術的課題を解決するべく、高度なリユースやリサイクルを実現するために、異種材料の界面を選択的に剥離・破壊させ、素材ごとの分離を容易にする技術を開発している。

成果

金属あるいはプラスチックを接着させた試料に対して高電圧パルスを照射したところ、接着剤内部にてプラズマが発生し、生じた衝撃波等の効果によって剥離が可能であった。また、リチウムイオン電池から取り出した正極材に高電圧パルスを照射したところ、集電箔に大電流が流れることによって塗布されていた正極活物質粒子を容易に剥離させることが可能であった。さらに、太陽光パネルセルシート内に埋め込まれた銅線や銀線に対して高電圧パルスを照射したところ、銅線や銀線の一部は細線爆発現象によって昇華し、その際に生じる衝撃波の効果との相乗効果によってセルシート内の樹脂から分離した。昇華した銅や銀は周辺の空気や水によって冷却され瞬時に粒子となるため、結果として樹脂内の銅線や銀線を銅粒子および銀粒子として分離回収することが可能であった。
以上のように、本研究では、従来であれば高温雰囲気や薬剤添加を必要とした異種材料間の分離に対して、電気パルス法を工夫して活用することによって、常温で瞬時に、かつ高精度に分離を達成することが可能となった。

自動車等移動車両の軽量化のための異種材料接着や、リチウムイオン電池、太陽光パネルなどは、いずれも需要拡大が見込まれる。これらの製品は、使用中は低炭素化等に寄与すると考えられるものの、廃棄後には、これまで以上に循環利用のための分離が困難となることが予想される。したがって、製造が本格化する現段階から廃棄後の分離技術を開発することは大変重要であり、更にはそれを想定した製品設計が標準化されることが望まれる。このような考え方はEUのCE(サーキュラーエコノミー)政策を始めとして国内外で高まっている。


※この取組は、提言・事例集『私立大学理工系分野の研究基盤の強化と向上-科学技術イノベーションの推進に向けて-』で紹介した研究事例です。
詳細等は関連リンクをご覧ください。

関連リンク

https://www.shidairen.or.jp/topics_details/id=2822