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豊田工業大学

革新的熱利用材料・デバイスの創製 ー異常熱伝導度の精密解析と制御

2020年7月29日

取組概要

先端的分光法、先端的計算科学の手法、精密物性測定、構造解析を駆使して、微細電子構造や電気伝導の次元性により生み出される『異常電子熱伝導度』と、非調和振動、相変態、イオン伝導に関係した『異常格子熱伝導度』の制御指針を確立する。また、得られた知見を利用して『革新的熱デバイス(熱ダイオード、熱流スイッチ、熱電材料等)』を開発し、熱制御・熱利用の新しい基盤技術の創出を目指す。

本研究では、電子熱伝導度と格子熱伝導度の双方に異常な挙動を呈する材料を用い、高品質試料の作製、電子物性・熱物性の精密測定、構造解析、フォノン解析(実験、理論)、電子構造解析(実験、理論)、物性予測シミュレーションを行い、異常熱伝導度の起源、支配因子、制御方法を明らかにする。さらに、異常熱伝導度制御指針を構築し、熱ダイオード、熱流スイッチ、熱電材料等の革新的熱デバイスの創製している。

成果

【世界最高性能を示す固体熱ダイオードを開発】本研究で開発した素子の性能は、一方向の熱流を100%とした場合、逆方向の熱流れが280%にも達する。蓄熱材料および熱電発電素子と併用することで、時間的に変動する熱源から、安定した電力を生み出すことが可能になる。
【電場のみで動作する熱流スイッチ素子を開発し】格子熱伝導度の寄与を著しく落とした上で、電子熱伝導度を電場により制御し、最大で80%程度の熱流の変化を生み出すことに成功した。まだ、コンセプトの確認段階であるが、熱流変化を更に大きくすることが可能であり、新しい熱流制御方法として期待されている。
【世界最高性能を示すバルク熱電材料を開発】熱電材料の性能は無次元性能指数ZTで評価される。これまでの最大値はZT = 2.6であり、実用化材料では、概ねZT = 1.0程度の材料が使われている。また、高性能材料には、希少で毒性のある元素が用いられていることが問題視されている。本研究では、電子構造と材料構造を最適化した結果、ZT= 3.7を示す安価で環境に優しい材料の開発に成功した。世界最高性能を示す熱電発電素子の開発に利用されることが期待されており、現在、その開発に取り組んでいる。

低酸素、省エネルギー社会の構築のために、未利用熱を有効活用することが強く望まれている。本研究出開発する未利用熱を有効活用する革新的な熱利用デバイスは、その重要な要素として、広く応用されることが期待できる。


※この取組は、提言・事例集『私立大学理工系分野の研究基盤の強化と向上-科学技術イノベーションの推進に向けて-』で紹介した研究事例です。
詳細等は関連リンクをご覧ください。

関連リンク

https://www.shidairen.or.jp/topics_details/id=2822