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東京都

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研究

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明治大学

折紙の特長を活かした構造や機能の研究 ―折紙のタイヤで車は走れるか?―

2020年8月13日

取組概要

日本の伝統文化であり芸術でもある折紙は今日、世界中で知られている。その造形美に加え、折紙の持つ実用性が人々を魅了する要因である。本研究者は、折紙を科学的に解釈し工学に応用する学問“折紙工学”を専門としている。折紙の形状変化と特長を取り入れた新しいデザインの創造を通して、豊かな社会と科学技術の発展に貢献することが研究の目的である。

ここでは、折紙が持つ“高剛性”と“展開性”という特長に関する研究として、折紙で自動車用タイヤを設計、製作し、実車試験で性能を評価した事例を紹介。本研究は、NHK BS プレミアム「本気でイグ・ノーベル賞狙います!」の密着取材を受けて行われたもので、2か月という時間や装置などの制約のもとで、形状の選定、設計、製作、測定を、研究室の学生と共に行った。タイヤ構造の複数の案から、“高剛性”なハニカム(ハチの巣)コアを採用しましたが、ハニカムコアの構造は向きによって硬さが異なる「異方性構造」であるため、どの方向からでも荷重を支えられるよう、数学的手法を用いて丸く設計した。さらに、折紙の“展開性”という機能を活かし、タイヤをホイールに取り付ける時のことを考えてタイヤの内径を広げられるようにも設計した。設計に基づき実際にタイヤを紙で製作し、日本工学院八王子専門学校の協力を得て自動車での走行試験を行い、静止状態の荷重だけでなく負荷が大きくなる発車時の駆動力にも耐えられるように改良を重ね、改良型ハニカムコアタイヤを完成させた。本研究で完成したハニカムコアタイヤは4つで合計7kgと軽量でありながら、約1tの自動車を用いた走行試験でも改良型ハニカムコアタイヤの変形は殆ど無く直進走行できた。

成果

このように、軽量で柔らかい紙でも形状を工夫すれば重たい荷重を支えられることが実証できた。本研究による特殊形状のハニカムコアを設計するための数学的手法と折紙タイヤの取り組みを国際応用数理会議ICIAM2019で発表したところ、数学的知見を産業へと技術移転する活動として会期中に設けられた企画「Industry day」にてBest Industry-related Poster Award( 2nd Prize)を受賞するなど、成果は高く評価されている。

自動車用タイヤをはじめ、軽量、高剛性、高強度が要求される用途への応用を目指す。


※この取組は、提言・事例集『私立大学理工系分野の研究基盤の強化と向上-科学技術イノベーションの推進に向けて-』で紹介した研究事例です。
詳細等は関連リンクをご覧ください。

関連リンク

https://www.shidairen.or.jp/topics_details/id=2822

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