取組概要
東洋大学は様々なスポーツ分野で活躍するトップアスリートの育成を積極的に行ってきたが、そこには科学的な研究の知見の裏づけがあることを、①アスリートサポート技術、②熱中症に対する予防医学的な見地に立ったヘルスサポート技術、③高齢者を始めとしたヘルスサポート技術の研究を推進し、国民の健康の維持・増進を図り、幅広く社会に還元することを目的とする。
東京オリンピック・パラリンピック2020への貢献を目標として、以下の3つの柱で研究事業を実施している。
① メンタルヘルス不調の可視化、生体ストレスによる運動循環機能の調節機構、国産カヌー開発等を通じた、アスリートサポート技術の開発
② 細胞・遺伝子・動物個体を用いた総合的な暑熱ストレス応答解析を通じて、熱中症予防成分の発見、暑熱負荷評価モデルの作製などのヘルスサポート技術の開発
③ 高齢者の機能障害を可視化できるウェアラブル端末等の開発および運動・栄養学的研究成果を通じた、高齢者の健康の維持・増進、予防技術の開発
成果
オリンピック競技に向けてバイオミメティクスの技術を応用した国産カヌーの開発に成功した。
デジタルペンおよびアプリによるメンタルヘルス不調の簡便測定方の開発に成功した。
熱中症予防効果が期待される植物由来機能成分を発見した(特許成立済)。
ウェアラブルな高齢者機能障害(嚥下)等の機器の開発に成功した。
これまでの研究成果を生かした産官学連携活動や、Society5.0への取り組みを加速する。国産カヌーの開発に引き続き、カヌー競技者のトレーニングシステムの開発を画像とAI解析を通じて行う。また、熱中症対策予防成分の製品化と、産官学連携プロジェクトの発足(6次産業の創出)を計画している。メンタルヘルス不調データ、免疫応答能データ、熱ストレスバイオマーカー値に加えて、運動・食事・睡眠・栄養摂取データおよび一般生化学データをAIの機械学習で解析し、特定の精神症状を示す群をクラスタリングする機械学習の手法を開発する。特に健康産業におけるAI技術の導入は最重要課題であり、高齢者の健康維持に向けた新たな産業創出と社会貢献に役立てることができる。
※この取組は、提言・事例集『私立大学理工系分野の研究基盤の強化と向上-科学技術イノベーションの推進に向けて-』で紹介した研究事例です。
詳細等は関連リンクをご覧ください。