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東京都

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研究

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慶應義塾大学

スピン流を基盤とした電子技術の新展開

2020年11月9日

取組概要

現代のエレクトロニクスでは実現困難なデバイス機能創出の指導原理としてスピントロニクスがある。電子の電気的性質である電荷と電流に基づくエレクトロニクスに対し、スピントロニクスの中心は、電子の磁気的性質であるスピンとスピンの流れ「スピン流」である。本研究の目的は、相対論的起源をもつスピン軌道相互作用により発現するスピン流量子物性の新領域を切り拓くことで、スピン流に基づく次世代電子技術の物理基盤を構築することにある。

スピン流電子技術の本質的要素は、スピン流と磁化(N極/S極)の相互作用である。本研究は、このような相互作用により現れる、磁化に作用するトルク(スピン軌道トルク)に対する物質の酸化効果を系統的に調べた。物質の酸化は電気・磁気・光学的物性に劇的な変化をもたらし、長い歴史を持つ物性物理学・物質科学において新現象・新物質開拓の鍵の一つであった。しかし、現在国際的に熾烈な競争下で推進されているスピントロニクスにおいて、酸化効果は全く見逃されてきた。物質の酸化という、これまでのスピントロニクスにはない独自のアプローチでスピン流物理の新領域を開拓した。

成果

本研究により、スピン軌道トルク生成の制御・増大原理が明らかとなった。特に、古くから広く産業で用いられ、世の中にありふれた金属である銅のスピン軌道トルク生成効率が酸化によって2桁以上もの劇的増大を示すことを見出し、自然酸化した銅が、スピントロニクスで最も広く用いられている白金を凌駕するスピン流・スピン軌道トルク源となることを明らかにした。スピントロニクスの常識を覆すこの発見により物質酸化の重要性を確信し、迅速に研究を展開した結果、白金の酸化制御により「絶縁体スピン流源」が実現されることを明らかにし、純粋に界面電流のみによって駆動される究極の省エネルギースピントロニクスデバイスへの展開が可能となった(Science Advances 4, eaar2250 (2018))。

あらゆるスピントロニクス素子の基盤はスピン流の生成と制御である。今回の研究により、物質の酸化に基づく、スピン軌道相互作用によるスピン流生成・制御の新原理が明らかになった。本成果は、今後、超高速・低消費電力のスピントロニクスデバイスへの展開が期待される。


※この取組は、提言・事例集『私立大学理工系分野の研究基盤の強化と向上-科学技術イノベーションの推進に向けて-』で紹介した研究事例です。
詳細等は関連リンクをご覧ください。

関連リンク

https://www.shidairen.or.jp/topics_details/id=2822
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