取組概要
国立循環器病研究センターの予防医学・疫学情報部の尾形宗士郎(上級研究員)、西村邦宏(部長)らと、関西大学の環境都市工学部の尾﨑平 (教授)、北詰恵一(教授)らと、国立環境研究所の山崎新(エコチル調査コアセンター長)、山形与志樹(地球環境研究センター客員研究員)らの研究グループは、人工知能(AI)技術の機械学習を用いて、気象データ等から熱中症発症数を高精度に予測する AI モデルの開発に成功しました。
成果
気温と湿度と日射量を複合した WBGT(湿球黒球温度)は、気候条件から熱中症リスクを示す指標として広く使用されていますが、WBGTで熱中症リスクを評価すると、日本の7月ー8月の多くの日がハイリスクとなり、詳細な評価が困難でした。
そこで、市町村の消防署より提供を受けた匿名化済みの熱中症搬送情報、The Weather Company 社による高解像度気象データ、AI技術の機械学習を用いて、12時間毎の市町村単位の熱中症発症者数を高精度に予測するAIモデルを作成しました。気象条件と熱中症発症数が関連することは、既に多くの論文で報告されていますが、本研究のように熱中症発症数・重症度・発症数ピークを高精度に予測する AIモデルは世界初の研究結果となります。
本AIモデルは、天気情報と暦情報と市町村の統計情報などのルーティンで収集されている情報を用いて熱中症発症数を予測することができるので、比較的容易に社会実装できるとされており、将来的に熱中症アラートを高精度に発信することで、多くの方の熱中症予防につながることが期待されています。