取組概要
7月27日(木)、芸術学部芸術表現学科3年生の3人が、被爆者が証言活動を行う際に言葉だけでは伝わりにくい場面や状況を絵画によって伝える「被爆体験絵画プロジェクト」として制作した作品を、「福岡市原爆被害者の会」に寄贈しました。
同会による、「証言活動を行う際に、より具体的なイメージを伝えたい。写真でも伝えきれない感覚を絵画に詰め込んでほしい」との要請を受け、2022年11月にその思いに賛同した学生が、証言者と初めて対面。被爆当時の様子を聞きながら描くべき場面の確認と方向性を決定し、その後は個別の話し合いを数回重ねて絵の構図や色など細かく確認しながら進め、約8カ月かけて各自が1枚の絵(53cm×45.5cm)を描き上げました。
成果
体験を語った3人が、今年3月に下絵を確認して以来初めてのお披露目となったこの日、白布がめくられた作品を見た当時9歳の岡崎満也さんは、思わず手で口を覆い「一瞬にしてあの時の記憶や感情が蘇った。被爆後半年で亡くなった3歳の妹まで描き起こしてくれてありがたい。あまりの出来栄えに感動しています」と声を詰まらせました。
記憶の風化に危機感を抱く岡崎さんと対話を重ねるうちに思いを強くしたという菅原舞花さん(福翔高校)は「最初は責任の重大さに、深く考えずにプロジェクトへ参加したことを後悔したこともありましたが、この作品を通じて平和を願う岡崎さんの想いを多くの人へ届けたいと考えるようになりました」と振り返ります。
担当教員の国元泰英講師は「今世の中にある作品が物語っているように、絵画は後世に伝えてくれる存在となります。このような経験が出来たことは学生にとっても貴重であり、継続するべき取り組みだと考えています」と力強く話します。