取組概要
商学部・渡辺達朗研究室は、一般社団法人東京ビジュアルアーカイブスと共催で、「神保町コレクティブ 能楽とダンスで学ぶ身体表現」と題したワークショップを3月16日、神田キャンパス10号館の相馬永胤記念ホールで開いた。
「神保町コレクティブ」は、文化と地域コミュニティを結び付けた新たなまちづくり活動。初のイベントとなった今回は、シテ方宝生流能楽師で重要無形文化財総合指定の辰巳満次郎さんと、東京バレエ団でソリストとして活躍するブラウリオ・アルバレスさんが実演を交えて解説した。2人の指導によるワークショップも行われ、参加した約30人は、舞台芸術について理解を深めた。
最初に、渡辺教授がイベントの趣旨を説明。神田キャンパスの隣にある能楽書林など能楽系出版社4社にインタビューした動画アーカイブを公開し、神保町と猿楽や能楽の関連を報告した。
続いて、アルバレスさんが、平和を祈るバレエ作品『青いガラス玉』を熱演し、来場者を魅了した。作詞・作曲の三森たかしさんとのトークセッションで、アルバレスさんは「各国の伝統芸能を学びながら作品に反映している。この作品では、最初のシーンの足運びに能の動きを取り入れている」と話し、振り付けの意味や見せ方など、作品に込めた思いを伝えた。その後、参加者全員でバレエの基本動作に挑戦した。
能楽についての講演では、辰巳さんが「伝統芸能には、日本人が忘れてきた日本の文化が残っている。今後も絶えないように続けていかなければならない」と伝統芸能の役割を語った。ワークショップでは、摺り足や「シオリ」といった能楽ならではの動作や表現を学んだ。ワークショップの締めくくりとして、辰巳さんが祝いの席で披露される能の演目の一つ『高砂』のキリ(最後の部分)を舞った。
成果
渡辺教授は「一流の演者によるワークショップで、非常に濃い時間となった。神保町と伝統文化について研究を続け、今後もアートを活用したまちづくりに貢献していきたい」と話した。
渡辺ゼミの学生も受講し、商学部2年次生は「伝統芸能に興味があった。鑑賞だけでなく、解説や体験もあり、とても面白かった。特にバレエを見たのは初めてで、静と動の緩急をつけた動きは迫力があり、感動した」と話した。