日産自動車株式会社 内田誠CEO特別講演「日産が描くモビリティの未来-世界と歩む持続可能な社会-」を開催しました

日産CEO内田誠氏(中央右)、曄道学長(中央左)を囲んで

本学では12月19日、日産自動車株式会社(以下、日産)代表執行役社長兼最高経営責任者(CEO)、日本自動車工業会副会長の内田誠氏を講師に招き、「日産が描くモビリティの未来-世界と歩む持続可能な社会-」と題して講演会を開催しました。100年に一度の変革期と呼ばれる自動車業界の中での成長性・重要性とはなにか。「他のやらぬことをやる」という創業以来のDNAのもとグローバルビジネスをリードしてきたNISSANのビジネスやテクノロジーそして働く人々についてお話しいただきました。

講演会は同社と本学の共催のもと四谷キャンパス国際会議場で行われ、学部生、大学院生、教職員の約110人が参加しました。

内田CEOによる特別講演は、自己紹介と日産の創業からグローバル企業まで成長した90年のあゆみの紹介から始まり、日産モビリティの未来、長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」に基づくさまざまな事例の紹介へと展開していきました。長期ビジョンでは、現在の気候変動への対応、過疎化・高齢化などの社会課題、消費者の価値観の変化など、それらに対して日産がどの様に取り組もうとしているのかが描かれています。

モビリティの未来を語る内田CEO

長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」は、環境にやさしく誰もが安全な移動を享受し、誰もが互いの価値を認め合うことができる世界。内田CEOは、まず環境にやさしい世界を実現するために電気の力で走る車両(EV)を積極的に拡充していることや、環境にやさしい車を増やすだけではなく、EVを生産する英国の工場で必要な電力をすべて風力、太陽光など再生可能エネルギーで賄っている事例を紹介しました。さらにEVが蓄電池として災害時の電気供給源として注目されていることを取り上げ、自治体や企業と連携のもと地域課題に取り組む「ブルースイッチ」活動についても話されました。

誰もが安全な移動を享受するビジョンでは、日産が事故のない世界の実現を目指して、安全技術や運転支援システムの実用化に早くから着手し、高速道路の同一車線でのアクセル・ブレーキに加えてハンドル操作まで行う画期的な技術を世界で初めて実用化し、2030年までにすべての新型車への搭載を目指していると述べました。
また、こうした未来ビジョンを実現するために、多様なバックグラウンドをもつ社員一人一人が最大限の能力を発揮できるようDEI(多様性、公平性、受容性)の考え方を導入し、若手社員の視点を車づくりに取り入れたり、社内で女性管理職の割合を高めたりしていることにも言及しました。

さらに内田CEOは、コロナを契機に世の中の常識が変わり自動車業界のビジネス環境も大きく変化してきていることに触れ、大切なのは移り変わりの早い時代に素早く適応し、慣れ親しんできた考え方や方法から思い切って脱却することだと強調しました。参加した学生たちには、「いま企業では未知の環境下でも問題解決のできる人材が求められている。学生時代に、今まで踏み込んだことのない世界に勇気をもって一歩踏み出してほしい。自分の世界を広げ続けてほしい」とエールを送り講演を締めくくりました。

日産社員、本学OGの山本哲子氏
日産社員、本学OGの三好美優氏

講演会後半のQ&Aセッションは、内田CEOと同社社員の本学OG三好美優氏(2019年理工学専攻応用化学領域修了)、山本哲子氏(2019年経済学部経営学科卒)が加わり、参加者からの質問にひとつひとつ丁寧に回答していきました。「再生可能エネルギー市場を日本で成熟させるために日産ができることは?」、「車が普及してない国で EVを広める方策は?」、「2050年カーボンニュートラルについてどのように考えているか?」など。この他にも日産の魅力、ESG、この先の自動車業界の面白さ、リーダーの心構えなど、多岐にわたる質問が続々と出されました。
自動車業界の未来を担う内田CEOを迎え、EVを活用した持続可能な社会の実現に向けて大変貴重な話を伺う機会となりました。

上智大学 Sophia University