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バイオ

早稲田大学

世界初・ナノシート電極を用いた植物電位のライブモニタリングに成功

2020年6月8日

取組概要

シート型電極の開発を行っている東京工業大学生命理工学院の藤枝俊宣 講師(兼 早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構・研究院客員准教授)、早稲田大学高等学院の谷口広晃 氏(現 早稲田大学先進理工学部生命医科学科2年)、秋山和広 教諭の研究チームは、植物葉で電位を測定できる極薄な導電性ナノシート電極(ナノシート電極、厚さ 約300ナノメートル ※1ナノメートルは100万分の1ミリメートル)を開発し、導電性高分子を用いた植物生体電位のライブモニタリングに世界で初めて成功しました。

本研究では従来の植物生体電位測定の課題点を克服するため、高分子ナノシートからなる生体電極を用いることでより低侵襲な植物生体電位の測定を実現しました。測定システムの構築にあたり、導電性高分子を用いて皮膚に貼り付けるだけで表面筋電図を計測できる極薄電極「電子ナノ絆創膏」を基盤技術とした、導電性ナノ薄膜電極(以下、ナノシート電極)を用いて、葉面上での設置位置などを検討しました。ナノシート電極は特徴的な物理接着性と柔軟性から、接着剤などを使用せずに葉面への貼付が可能で、微細な凹凸に密着していることを確認しました。比較対照のゲル電極では貼付して14日程度で葉面に変色がみられたのに対し、ナノシート電極の場合では変色は見られず、侵襲度の低さを顕著に示しました。また、光照射時に生じる植物葉の電位パターンの変化を本測定法によって確認しました。得られた電位パターンは従来の測定法によって報告されている電位変化と類似しており、ナノシート電極が植物用の生体電極として使用できることを見出しました。

成果

本研究で提案したナノシート電極は直接果実等の可食部へ貼付が可能で生体電位測定の幅を大きく広げることができます。この技術は無人栽培や植物工場での人工栽培など農業をはじめとする一次産業での応用が可能で、これらはSDGsにおける貧困、気候変動、飢餓などの項目の解決に貢献することが期待されます。また、簡易的な電位測定システムとして中高生向けに生体電位や測定システムの学習をサポートするキットへの応用も期待されます。

第一著者の谷口氏は研究開始当時早稲田大学高等学院に在籍する高校生であり、大学進学後も研究を続け今回の論文投稿へ至りました。本研究は早稲田大学高等学院と母体の早稲田大学との連携を活かした好例であり、今後の教育活動のモデルとしても参考になると期待されます。

関連リンク

https://www.waseda.jp/top/news/69336

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