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東京都

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取組内容

研究

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連携なし

慶應義塾大学

精神神経疾患の関連分子が神経細胞を正しく配置させるしくみを発見-脳形成の複数の過程を単一分子がコントロールできるメカニズムを解明-

2020年6月16日

取組概要

慶應義塾大学医学部解剖学教室の廣田ゆき専任講師と仲嶋一範教授は、脳の形作りを制御しさまざまな精神神経疾患との関連が示唆されている分子リーリンが、脳の形成過程において、神経細胞のVLDLR 受容体に作用することで神経細胞を適切な位置で停止させ、神経細胞を正しく配置させることを、同受容体欠損マウスを用いて明らかにしました。
脳の機能は、多くの神経細胞が作るネットワークによって担われており、そのネットワークが正しく作られるためには、脳の形成過程において神経細胞が適切な位置に配置されることが重要です。神経細胞は脳の深部で生まれて脳表面へと移動しますが、リーリンを欠損したマウスでは正常な細胞移動が行われず、この分子の異常はヒトの精神神経疾患とも関連することが知られています。リーリンの機能は、神経細胞を特定の場所に移動させ集める「集合」と、適切な場所に留置する「停止」の両方があるとされ、本研究グループの先行研究ではリーリンと神経細胞のApoER2受容体が作用し移動神経細胞を集合させることを報告しました。

成果

今回、リーリンが神経細胞上のもう一つの受容体であるVLDLRを介してその移動を適切な位置で停止させることを示し、リーリンが神経細胞移動の複数の過程で、異なる受容体に作用することにより「集合」「停止」の2種類の制御をすることを明らかにしました。さまざまな精神神経疾患の背景に、脳の形成過程における神経細胞の配置異常などの微細な障害が存在している可能性が近年注目されており、本成果は今後それらの疾患の病態解明と治療法の開発に貢献することが期待できます。

関連リンク

https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2020/6/16/28-70401/