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東京都

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取組内容

研究

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企業

成蹊大学

パスタダイスの押出し解析

2020年7月6日

取組概要

シミュレーションソフトDEFORM-3Dを利用して、パスタダイスの強度設計に関する押出しの応力評価を行った。評価対象をダイスだけでなくパスタ素材にも応用して、押出し時にコンテナ内のパスタ生地がどのような挙動でダイス穴まで到達して押出されるのかの可視化も試みた。

本研究は大手食品メーカーとの共同研究である。食品メーカーの研究所では、農学や食品科学の専門家が多い一方、工学を専門とする研究者は少ない。しかし、食品メーカーの生産技術部門では、工程改善、工場のライン設計、金型設計等、工学の知識を必要とする業務も多い。DEFORM-3Dは塑性加工総合シミュレーションソフトで、一般的な塑性加工に関する素材の変形とダイスの応力状態を、定量的に知ることができる。パスタの押出しを考えた場合、デュラムセモリナ粉と水とを混練した生地を、圧力を負荷してダイス穴から押出す。これは、例えばアルミニウム合金の溶湯を矩形ダイス穴から押出して、アルミニウムサッシを製造する工程と類似している。金属加工の分野では、シミュレーションを援用したダイスの応力評価や素材流れの可視化は通常的に行われている。しかしながら、DEFORM-3Dを金属の押出し変形以外に応用した研究はこれまでに皆無である。今回紹介したパスタ生地の押出しを塑性加工における押出し加工と見なしてDEFORM-3Dにより解析する試みは、過去に例がない初めてのものとなった。研究成果の一例として、①押出し時間の変化にともなうダイス穴付近の圧力分布の変化、および②パスタの押出し速度分布、を示す。詳細については、「酒井 孝、幸田理恵、新海陽介、大楠秀樹、「塑性加工シミュレーションソフト・DEFORM-3Dによるパスタおよびダイスの押出し解析」、日本食品工学会誌、20-2、35〜40ページ(2019年6月発刊)」

成果

今回の研究ではでダイスの応力状態把握とパスタ素材流れの可視化が実現できたので、この知見は金型設計やパスタマシン設計の高効率化および高精度化につながる。

今回は小型押出し式電動パスタマシン・マジカに、ダイス穴直径1.75mmのスパゲティ用の真鍮製ダイスを取り付けた状態を解析対象とした。解析モデルを変更することにより、異なる押出しマシンやダイス、さらには別条件での解析へも簡単に応用展開でき、そして普遍的な定量情報が得られることになる。


※この取組は、提言・事例集『私立大学理工系分野の研究基盤の強化と向上-科学技術イノベーションの推進に向けて-』で紹介した研究事例です。
詳細等は関連リンクをご覧ください。

関連リンク

https://www.shidairen.or.jp/topics_details/id=2822