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研究

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甲南大学

環境の「酸素濃度」が体の低温適応を調節 ―2つの感覚情報の統合の脳の神経回路

2020年7月22日

取組概要

温度は生体反応に直接影響を及ぼす重要な環境因子のひとつのため、生物は温度変化に対して適切に応答することが重要である。一方で、ヒトの体は約37兆個の細胞で構成されており、生体調節の中枢である脳は約1000億個の神経細胞で構成されているため、ヒトの生体内の情報処理を解析する大きなハードルになっている。本研究では、シンプルな動物である線虫C. エレガンスの低温馴化を指標にヒトにも共通する温度適応や神経情報処理の仕組みの解析を進めた。

成果

本研究から、環境の酸素濃度が体の低温耐性に関わることを線虫C. エレガンスの研究から見つけた(Okahata, et al., Science Advances, 2019)。この現象には、ヒトのKCNQ型カリウムチャネルという神経活動を調節するタンパク質の類似遺伝子が関わっていた。体液中の酸素濃度が体内の酸素センサー神経細胞で感知され、この神経細胞と神経回路を作っている頭部の温度を感じる神経細胞を調節して、体の低温適応を調節していることが分かった。この研究から、温度と酸素という2つの感覚情報の統合の神経回路が線虫で明らかになった。ヒトのKCNQ型カリウムチャネルも体の温度適応に関与している可能性が考えられる。この研究成果は、米科学誌サイエンス アドバンシス誌に掲載され、その筆頭著者の大学院博士後期課程生の岡畑(山﨑)美咲は、2019年度のロレアル ユネスコ女性科学者 日本奨励賞を受賞した。生命科学分野では関西の私立大学から初めての受賞である。

ヒトを含む高等動物の脳・神経系においても、1つのニューロン内において複数の神経情報が統合処理されている。そのため、今回見つかった神経回路の解析を進めることで、どのようにニューロン内で複数の神経情報が統合処理されるかという、ヒトの脳神経系の基本的なメカニズムの解明に繋がると期待している。また、線虫のKQT-2に相当するヒトのKCNQについて、温度適応との関連性は報告されていない。そのため今後、ヒトのKCNQについても温度適応という社会・医療的な観点から研究が行われることが期待される。


※この取組は、提言・事例集『私立大学理工系分野の研究基盤の強化と向上-科学技術イノベーションの推進に向けて-』で紹介した研究事例です。
詳細等は関連リンクをご覧ください。

関連リンク

https://www.shidairen.or.jp/topics_details/id=2822