校章などサムネイル
実施地域アイコン

実施地域

東京都

取組内容アイコン

取組内容

研究

実施体制アイコン

実施体制

学部・学科

連携状況アイコン

連携状況

連携なし

学習院大学

ルビジウム原子のボース・アインシュタイン凝縮体を用いた磁場計測

2020年8月14日

取組概要

私の現在の主な研究内容は、アルカリ金属の1つであるルビジウム原子のボース・アインシュタイン凝縮体(BEC)を用いた、磁場の精密計測である。量子技術を用いたBEC磁力計の性能向上、ならびに、磁力計の性能の普遍的な限界の探求を目指している。

ボース・アインシュタイン凝縮は、極低温で発現する粒子の量子統計性に由来する現象である。BECは、原子集団を、磁場や光などの電磁波を用いて極低温(数百ナノケルビン、つまり絶対零度から百万分の1度程度)にまで冷却することで生成される。このような極低温では、量子力学の効果が顕著に現れる。
ところで、一般に、原子は、感度のよい磁場センサ(磁力計)として機能する。最近では、常温の原子気体を利用した磁力計の感度は、生体の発する微弱な磁場を測定できるレベルに達している。そのような中で、BECを磁力計に用いるメリットとして、空間分解能が挙げられる。室温の原子が高速(ジェット機並みの速さ)で動き回っているのに対し、BECを構成する原子はほぼ静止している。したがって、BECを用いた磁力計では、マイクロメートル程度の空間分解能で局所的に磁場を測定できる。BEC磁力計の感度の主要な制約は、量子力学的に由来する“量子雑音”です。私の研究では、量子雑音を圧搾する技術を用いて従来のBEC磁力計の性能限界を打破する、という目標を掲げている。これまでに雑音圧搾による感度向上の原理実証実験は行われているが、古典的な磁力計を超えるに至っていない。量子技術によって本当に従来の磁力計を超えられるのか、磁力計の性能の真の限界はどこかという点に興味がある。

成果

これまでに位相コントラスト法と呼ばれる手法によってBECの磁気スピンを高精度に連続的にその場撮影することに成功した。これは高感度な磁場計測の基礎となる技術である。達成した結果は、我々の装置が、BEC磁力計として世界最高の感度を実現するポテンシャルを有することを示している。

磁場感度を悪化させている要因への適切な対策によって、世界最高の磁場感度を実現可能と見込んでいる。また、量子雑音圧搾に関する実験も進め、量子技術を用いたBEC磁力計の性能向上、磁力計の性能の普遍的な限界の探求という2つの目標の達成を目指している。もしかすると磁場の精密測定といえばBEC、という日が来るかもしれない。


※この取組は、提言・事例集『私立大学理工系分野の研究基盤の強化と向上-科学技術イノベーションの推進に向けて-』で紹介した研究事例です。
詳細等は関連リンクをご覧ください。

関連リンク

https://www.shidairen.or.jp/topics_details/id=2822
このエントリーをはてなブックマークに追加