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関西学院大学

産官学連携による福島復興に向けた「ハニカム型水素安全触媒」を開発 ―福島第一原発廃炉:安全な燃料デブリ取出―

2020年8月21日

取組概要

福島第一原発廃炉のプロセスにおける課題の一つである水素安全の確立のため、自動車 触媒を応用した実用性の高い「ハニカム型水素安全触媒」を開発した。この結果、福島第一原子力発電所の廃炉の際に水素爆発を未然防止し、燃料デブリ等を安全に搬出・輸送し、そして長期間に渡り保管することが可能となる。

燃料デブリ等の搬出・輸送・長期保管といった原発廃炉のプロセスにおいて、密閉された燃料デブリ等の保管容器内で、水分が放射線分解して水素ガスを発生する課題に対して、ガソリン自動車用ハニカム型触媒を応用し、外部からの電力供給などを必要とせず、発生した水素と酸素を容器内で安全な水に戻す「水素安全触媒」を開発した。低温からの活性に優れ、軽量・コンパクトで、燃料デブリの保管容器をほとんど改造することなく搭載可能である。
※本研究開発は、福島第一原子力発電所の廃炉に向けた国家プロジェクトである「国家課題対応型研究開発推進:英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(平成28~30年度)」の枠組みにおいて、「廃炉加速化研究プログラム:廃棄物長期保管容器内に発生する可燃性ガスの濃度低減技術に関する研究開発(研究代表者:長岡技術科学大学高瀬和之教授)」の中で実施したものである。関西学院は、国家的課題の解決に積極的に取り組み、ダイハツ工業株式会社、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構と協力して、大型放射光施設SPring-8にて反応メカニズムを解析することにより開発を加速した。触媒試作は、株式会社キャタラーと日本ガイシ株式会社の協力を得た。また触媒改良の効果は、ドイツ・ユーリッヒ研究所( Forschungszentrum Juelich GmbH)の大スケール反応装置にて実証した。
https://www.kwansei.ac.jp/press/2019/press_20190722_022543.html

成果

開発した触媒は自動車触媒技術を応用しており、以下のような優れた特徴を持っている。
・燃料デブリ等の保管容器内で発生する水素を、安全な濃度(4%未満)に保つ
・高活性で、様々な環境で性能発揮(マイナス20 ℃から水素濃度を低減可能)
・外部からの電力供給が不要
・セラミックス・ハニカムに塗布されているため、軽量で取扱いが容易
・コンパクトで、保管容器にほとんど改造を加えることなく取り付け可能
・貴金属使用量が極めて少ない
・量産が可能で、実用性が高い

2021年内から段階的に計画されている燃料デブリ取出しに向けて、実用化のステップへ進んでいくことが想定されている。


※この取組は、提言・事例集『私立大学理工系分野の研究基盤の強化と向上-科学技術イノベーションの推進に向けて-』で紹介した研究事例です。
詳細等は関連リンクをご覧ください。

関連リンク

https://www.shidairen.or.jp/topics_details/id=2822