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宮城県

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東北学院大学

新しいマンガン系永久磁石材料の探索 ―豊かな次世代エネルギー創製のために―

2020年8月28日

取組概要

これからの脱化石燃料・低炭素時代において省エネルギー、クリーンエネルギーに関わる技術開発をさらに積極的に推進しなければならず、ナノ構造制御による高性能永久磁石開発は、高性能モーター・発電機を開発する基盤技術として必要不可欠である。希土類金属を原材料に含むネオジウム系高性能永久磁石が抱えている資源問題は、将来的には好転・緩和されることが期待されているが、不安要素は拭いきれず、レアメタルを含まない高温耐性に優れた磁気特性を示す高性能永久磁石材料の開発は急務である。また、次世代超高密度・大容量・超高速のストレージメモリ実現のためには、高飽和磁束密度で高い磁気異方性を有する新規な強磁性薄膜を超高密度垂直磁気記録媒体に適用することが必要であり、原子・分子単位での新たな材料設計に基づいた新規高磁気異方性材料の創製とそのデバイスへの適用検討が不可欠である。

本研究は、上記のいずれの研究開発分野においてもキーマテリアルである従来型の希土類系強磁性体を凌駕する、あるいは従来の枠を超えた高機能性が期待される新しいマンガン系高磁気異方性磁性材料の創製の可能性を、エピタキシャル積層法を用いて検討し、その後バルク材料へ展開し高性能永久磁石材料を開発することを目的とする。

成果

正方晶逆ホイスラー構造を有するFe2MnGa合金が強磁性を示し、構造を安定化させるための手段を第一原理計算に基づき解明した。第一の成果として、上記正方晶逆ホイスラー構造では高磁化、高磁気異方性、高キュリー温度を示し、また、8%の体積拡張で常圧における立方晶ホイスラー構造から正方晶逆ホイスラー型が最安定構造となることを示した。この成果は、新たな高磁化・高磁気異方性材料の設計指針を提示した点で特に重要である。第二の成果として、GaサイトのSn置換またはGa組成の増大により正方晶逆ホイスラー構造が安定構造となることを示すとともに、磁気特性へ与える影響を明らかにした。この成果は、具体的な体積膨張の手段を提示すとともに、正方晶逆ホイスラー構造における磁気特性への影響を示した点で特に重要である。

本研究は、高磁化および高磁気異方性を兼ね備えたマンガン系新規永久磁石材料の探索に主眼をおいたものであり、高磁化を示す新しいMn基合金材料の開発は成功したが、これまで発現されていないような高い磁気異方性は得られていない。しかしながら、今後のレアメタルを含まない高性能永久磁石材料開発のための設計指針を提示する革新的な技術となり得、理論計算結果に基づいた高保磁力化発現のための手がかりとして十分期待できるものと考えられる。


※この取組は、提言・事例集『私立大学理工系分野の研究基盤の強化と向上-科学技術イノベーションの推進に向けて-』で紹介した研究事例です。
詳細等は関連リンクをご覧ください。

関連リンク

https://www.shidairen.or.jp/topics_details/id=2822