取組概要
これまでの化学プロセスの9割は、不均一触媒(固体触媒)によって300~900℃という高温で効率よく動いてきた。昭和平成を通して、物質・エネルギープロセスはこれら大規模な触媒プロセスに支えられてきた。一方で、再生可能エネルギーを利用して低い温度(常温~200℃)で、ほしいときにほしいだけ化学プロセスを駆動する触媒技術は存在しなかった。本グループは、外部から表面イオンを能動的に制御することで、このような化学プロセスを実現した。この技術を用いて、低い温度でのオンデマンドな水素製造や、アンモニア合成、二酸化炭素再資源化を目的としてきた。
半導体性を有する触媒に、外部から電場を印加すると、低温でも表面でイオンが駆動され、速やかに化学反応が進行することを見出した。これを用いて、再生可能エネルギー由来の電力を用いて、ほしいときにほしいだけ、水素やアンモニアを製造したり、二酸化炭素を再資源化したりすることができるようになった。この技術は世界で初めて当グループが発見し、現在米国や欧州、中国、シンガポールなどから猛烈に追いかけられている。一方で国内では誰もが知る大手製造業群13社とタッグを組んで、この技術を実用化すべく鋭意研究が進んでいる。
成果
これまでの化学プロセスは効率が良いが、大型で複雑、起動停止には向かないものであった。本グループの研究により、世界で初めてほしいときにほしいだけ、再生可能エネルギーを用いて化学プロセスを駆動できるようになった。
現在、自動車、鉄鋼、総合化学、プロセスエンジニアリング、半導体材料製造、重工業などの多くの企業と共同研究が進み、本技術の実用化がはかられている。今後、再生可能エネルギーを効率よく使っての、ほしいときにほしいだけ物を創り出す技術が実用化されるであろう。
※この取組は、提言・事例集『私立大学理工系分野の研究基盤の強化と向上-科学技術イノベーションの推進に向けて-』で紹介した研究事例です。
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