取組概要
次世代のエネルギー問題解決のために、クリーンエネルギーの研究が不可欠であり、これに対する解決策として無機半導体と有機半導体を組み合わせて、水の光分解を可能にする人工葉を構築することを目的とした研究である。
水分解の高効率化を目指して、有機半導体と無機半導体を組み合わせた人工葉セルを実現することが本研究の特長である。有機半導体としてMAPbI3膜を用いた人工葉セルの試作、無機半導体としてBiFeO3-TiO2のp-n接合型酸化・還元電極の製作、半導体材料としてGaInP、GaAs、InAsナノワイヤを用いた人工葉セルの試作を行っている。また微量水素の検出および定量化を進めるとともに、ハライド系有機-無機ペロブスカイト半導体の結晶モデルを作成するためのMDシミュレーションを実施し、高効率化のための結晶構造の解析を行っている。
成果
有機半導体、無機半導体を用いたプロトタイプ人工葉セルの試作を行い、それぞれのデバイスにおいて基本的な太陽光発電特性を確認した。またシミュレーションにおいては量子化学計算に第三世代DFTと言われるM062X汎関数を用い、基底関数にはロスアラモス研究所が開発したLanL2DZを使用し、ハライド系有機-無機ペロブスカイト半導体の結晶モデルを作成した。最終的な人工葉セルを実現するための、デバイス作製技術を構築し、そして基本的な結晶モデル作成により今後のデバイスシミュレーションが可能となった。
有機半導体と無機半導体における基本的な太陽光発電動作を確認できたので、今後はこれらを組み合わせた高効率人工葉セルの試作を行う。次世代エネルギー問題の解決としてクリーンエネルギーの研究は重要であり、本研究は社会の持続的発展のために必要不可欠であると考えている。
※この取組は、提言・事例集『私立大学理工系分野の研究基盤の強化と向上-科学技術イノベーションの推進に向けて-』で紹介した研究事例です。
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