取組概要
エネルギーや資源に関する問題を解決するため、自然科学と社会科学の両者を融合させた研究を行っている。前者ではマイクロ波を用いた革新的低エネルギー型製錬およびリサイクル(マイクロ波メタラジー)、廃棄物利用プロセス、環境配慮型材料に関わる熱物性測定等、後者では開発材料やプロセスのライフサイクル思考を用いた環境影響評価や物質フロー分析を行っている。特に近年は、材料やプロセスの背後に隠れているエネルギー投入や採掘活動、すなわちエネルギー強度や資源強度の見える化に注目している。全ての研究は、国内だけでなく広く全世界を対象地域としており、SDGsやパリ協定を強く意識し、効率性と健全性を追求した国際資源循環シナリオの構築を目指している。
成果
これまで脱炭素・脱物質のみに注目した研究が多かったが、次世代自動車に代表されるようにその背後で「資源」利用が増加するような状況が無視されてきた(資源パラドックス問題)。私たちの研究で、このような問題を可視化することに成功した。
<応用例・活用例>
■廃棄物利用型リサイクル
廃棄物単体、あるいは廃棄物と廃棄物を組み合わせた素材リサイクルに注目している。例えば、鉄鋼スラグとシリコンスラッジを組み合わせ、日本国内では得られない「黄リン」を自国資源として生産できるような方法を検討している。
■マイクロ波メタラジー
電子レンジ等に使用されるマイクロ波を用いた新しいプロセスを提案している。マイクロ波は選択加熱、高速加熱、低エネルギー加熱という特徴があり、これまでにない新しい材料、プロセスを提案できる。
■資源強度データベースの構築
従来、温室効果ガスに対するデータベースは多かったのですが、当研究では資源強度データベースを構築し、環境省、経済産業省、企業等にも活用している。現在、1000以上の製品についてデータベースを構築している。
■資源強度を考慮した製品設計
上で得られたデータベースを元に、新たな製品設計を提案可能である。次世代自動車の資源強度を比較すると、燃費のよい次世代自動車も資源の視点からは必ずしも環境に優しくないことが分かる。
※この取組は、提言・事例集『私立大学理工系分野の研究基盤の強化と向上-科学技術イノベーションの推進に向けて-』で紹介した研究事例です。
詳細等は関連リンクをご覧ください。