取組概要
感性情報学を基盤にして、人間の多様な感性と価値を生み出す創造性とをモデル化、インデックス化し、産業から個人までが利用可能なメトリックを策定することで、個人に根差した価値を具現化するデザインサポートプラットフォームの実現を目指している。
人間一人ひとりの感性を大切にしたプロダクトデザインやサービスデザインを実現するため、生理・心理測定からCGやシミュレーション、AIまで幅広い手法を活用しながら、(1)感性を指標化し個人ごとにモデル化する「感性価値メトリック」(2)感性と物理量の関係のモデル化によって感性を満たすものづくりを支援する「感性ソムリエ」(3)デザインプロセスを構造化し、個人が自ら価値を具現化する活動を支援する「デザインナビ」(4)個人の心的状態を非接触で測定する「ヒューマンセンシング」をコアコンピタンスとして研究開発に取り組んでいる。
成果
感性の仕組みを解き明かす基礎研究から、製品の実用化・デザインに活用する応用研究まで実施しており、研究成果の社会実装も数多く実現している。社会実装の事例として、個人の感性を反映するファッションデザインアプリ「COUTURE」の展開、AIを活用したスーツ生地のレコメンドシステム「感性AIソムリエ」(髙島屋をはじめとする実店舗に導入)、素肌とメイク肌の比較による透明感のメトリックにより「素肌のキメの整い」に対応するメイク肌の構成要素を明らかにした肌溶けパウダーファンデーション「コーセー雪肌精CCスノーパウダー」、マルチモダリティ(共感覚)の仕組みを利用した音楽演奏アプリ「CASIO Chordana Tap」の製品化・発売などがある。またピアノ演奏コンピュータグラフィクス(CG)生成技術によるテレビアニメ「のだめカンタービレ」の制作支援や、触感計測技術による各種素材開発支援(化粧品、車用インテリア部材、ロボット用部材など)も行っている。
関西学院大学の「核となる研究群育成制度の構築」の下、これまでの研究活動を発展させる形で「感性価値創造インスティテュート」が2020年1月に発足。今後もAI・IoT・ビッグデータ時代におけるデザインサポートプラットフォームとして、現場の良質なビッグデータから社会の変革に繋がる戦略を連続的に生み出していく多彩なオープンイノベーションの場を目指し、豊かで持続可能な社会の実現、SDGsへの貢献を果たす。
※この取組は、提言・事例集『私立大学理工系分野の研究基盤の強化と向上-科学技術イノベーションの推進に向けて-』で紹介した研究事例です。
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