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健康

東京歯科大学

歯の修復メカニズムを明らかに

2021年6月15日

取組概要

東京歯科大学・口腔科学研究センターの溝口利英准教授、口腔顎顔面外科学講座の伊藤慎一郎大学院生、解剖学講座の阿部伸一教授、松永智准教授は、松本歯科大学との共同研究により歯の修復メカニズムを生体レベルで明らかにしました。

【研究の背景と経緯】
歯は外側からエナメル質、象牙質で出来ており、その中心は歯髄と呼ばれる軟組織で満たされています。また、歯髄には象牙質の形成に働く象牙芽細胞が存在しています。う蝕や外傷によりエナメル質および象牙質の欠損が生じると、生体防御反応として歯髄腔側からの象牙質修復が進みます。臨床の現場ではより早期の修復が求められますが、そのメカニズムについては良くわかっていませんでした。我々は、象牙質の欠損部周辺では死滅した象牙芽細胞が観察される点に着目し、象牙芽細胞死が歯の修復を誘導するきかっけになるという仮説を立てました。これを証明するために、遺伝子情報改変マウスを用いて象牙芽細胞を特異的に死滅させる実験系を構築し、歯の修復メカニズムの解明を目指しました。

成果

ジフテリア毒素の投与により象牙芽細胞が死滅する遺伝子情報改変マウスを作製しました。このマウスを用いた解析より、象牙芽細胞の死滅後に歯髄の細胞稠密層に局在する間葉系細胞(ネスチン陽性および陰性)が増殖を介して象牙芽細胞様細胞に分化することが示されました。さらに、分化した象牙芽細胞様細胞は、活発に象牙質を形成することが分かりました。また、I 型 PTH 受容体(PTH1R)の発現が象牙芽細胞を枯渇した歯髄で上昇することが示され、これは物理的に歯を欠損させたマウスの歯髄でも認められました。さらに、PTH(1-34)のマウスへの投与は象牙芽細胞死にともなう修復象牙質の形成を促進しました。

以上の結果から、象牙芽細胞死を引き金とした、組織修復を誘導する歯髄環境の存在が示唆されました。今後は、以上の知見を基盤とした象牙質修復治療法の確立に繋がることが期待されます

関連リンク

http://www.tdc.ac.jp/Portals/0/images/college/information/pdf/kenkyu-seika5.pdf