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東京都

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研究

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新種発見

法政大学

イモリダニ亜属のダニ4新種を発見

2021年7月16日

取組概要

独立行政法人国立科学博物館(館長:篠田謙一)ほかとの共同研究により、中国に生息するフトイモリ属Pachytritonの1種と、コブイモリ属Paramesotritonの2種の体表に寄生するイモリダニ亜属Lurchibatesの4新種を記載した。
イモリダニ亜属は汎世界的に分布するミズダニ属Hygrobatesの1グループで、ミズダニは2002年に最初に見つかって以来、今回の新種を加えて11種となった。

イモリダニ亜属は、約150種を含み汎世界的に分布するオヨギダニ属Hygrobates(ミズダニ類)の1グループで、東~東南アジアに分布するイモリ科の3属の体表や口腔内に寄生する。両生類に寄生するミズダニは珍しい。他のオヨギダニ属は幼虫が昆虫に寄生し、成虫は自由生活捕食性として過ごすが、本亜属はイモリの体表で一生をすごす。また、特殊な触肢をイモリの皮膚に食い込ませて身体を固定し、長い鋏角を持ちイモリの皮膚を切り裂いて寄生するというきわめて特殊な生態を持つ。テトロドトキシンというフグも持つ強毒を皮膚などに有するイモリに寄生することで、これらのダニは外敵から身を守るなど何らかの利益も得ていると考えられている。近年宿主であるイモリも各地で種分化していることがわかり、それに寄生するイモリダニもまた多くの未記載種がいることが予想されていた。

4新種に加えて既知種についても詳細な検討を行い、雌雄での形態差を比較できる形で記載を行った。34の形態形質を用いた多変量解析や、超並列シークエンサーと28S rRNA部分配列による系統解析も用いることでそれぞれの種の評価を行い、イモリダニ亜属の分類学的整理を行った。

成果

4新種を含むイモリダニ亜属11種の詳細な形態形質の検討により、系統関係を考慮した形態形質による種の同定が可能となった。多くの標本を元にしたこの研究の結果、イモリダニの宿主との関係はより緩やかなものであることが推定された。イモリダニはイモリとの共種分化だけではなく、宿主転換も行ってきたことは間違いなく、今後の分子系統関係の比較解析が待たれる。
イモリダニの生活史や生態に関する野外調査も行うことで、どうしてアジアでのみこのようなイモリとダニの寄生関係が進化したのか、そのことでダニの種分化は促進されたのかなど、様々な疑問に答えていき、最終的には彼らの進化史の全体像の解明が期待される。

関連リンク

https://www.hosei.ac.jp/press/info/article-20210713091353/