取組概要
慶應義塾大学文学部心理学研究室の皆川泰代教授、寺澤悠理准教授、慶應義塾大学理工学部機械工学科の三木則尚教授、慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート徐鳴鏑特任助教らの共同研究グループは、自身の心拍を模したスマートウォッチによる振動刺激が、人前でのスピーチのようなストレス状況下での自律神経に働きかけ、心拍の速さを緩める緊張緩和効果を持つことを示しました。ただしその効果は個人の持つ身体内部状態の知覚能力(内受容感覚)に左右され、内受容感覚が正確であるほど強くなり、正確でない場合は効果が得られにくいことを明らかにしました。
成果
これまでに、自身の心拍を模したような音など、疑似心拍が人間の感情や気分に影響を与えることは知られていましたが、実際にその効果の有無は研究により異なっていました。本研究は内受容感覚の個人差がその結果の違いを引き起こした可能性を示唆します。個人の身体内部状態(例、心拍、発汗)の知覚能力に応じて、外部から振動で提示される自己身体情報(疑似心拍)の受け止め方が異なり、結果的に感情への効果が異なることが考えられます。
今回の成果は、疑似心拍効果を個人の内受容感覚に応じてカスタマイズすることで、効果的な感情制御のスマートデバイス開発へつなげることも期待されます。