校章などサムネイル
実施地域アイコン

実施地域

千葉県東京都

取組内容アイコン

取組内容

研究

実施体制アイコン

実施体制

学部・学科

連携状況アイコン

連携状況

他大学, 地方自治体・国

東邦大学

港区の自然教育園で カタツムリに寄生する新種の吸虫(扁形動物の寄生虫)を発見

2022年2月28日

取組概要

東邦大学の脇司講師と同大学大学院理学研究科の古澤春紀大学院生、旭川医科大学の中尾稔准教授、佐々木瑞希助教、ミュージアムパーク茨城県自然博物館の池澤広美資料課長、佐賀大学の井上健研究員、北海道大学の尾針由真研究員、国立科学博物館の亀田勇一特定研究員、帯広畜産大学の麻田正仁准教授、九州貝類談話会の宮﨑 晋介氏の研究グループは、東京都港区の国立科学博物館附属自然教育園に生息しているキセルガイ(キセルガイ科のカタツムリの仲間)の一種ヒカリギセルから新種の寄生虫キセルガイサンゴムシBrachylaima phaedusaeを新種として記載・発表し、さらにこの寄生虫が関東以南に実は広く分布していることを明らかにしました。

成果

国立科学博物館附属自然教育園は、「天然記念物及び史跡」に指定され、都心にありながら古くからの豊かな自然が残されてきた場所です。同時に、都民をはじめとした入園者が生き物や自然を身近に観察できる学習教育の場となっています。この場所に生息するキセルガイからは数ミリほどの寄生虫が検出されることが知られていました(倉持ら, 2019)。その寄生虫は、形態からしてブラキライマ(Brachylaima)属吸虫の幼虫(メタセルカリア)と考えられていましたが、その種は分かっていませんでした。

研究グループは、自然教育園のキセルガイに寄生していたメタセルカリアの正体を探るための研究を行いました。吸虫の種を確定するには、メタセルカリアではなく成虫の形を観察する必要があります。そこで、キセルガイから得たメタセルカリアを免疫抑制マウスに経口投与して成長させて成虫にしました。その成虫の形態は、これまでに知られているどの吸虫の形とも異なっていました。さらに、メタセルカリアのDNAの一部の配列を調べたところ、それまで知られた吸虫とも別種レベルで異なることがわかりました。以上のことから、この吸虫をキセルガイサンゴムシBrachylaima phaedusaeとして新種記載しました。
さらに調査を進めたところ、このキセルガイサンゴムシの幼虫(メタセルカリアとスポロシスト)が関東から九州にかけての広い地域に分布しており、それぞれの場所でキセルガイを中心としたカタツムリに寄生していることが分かりました。見つかった場所の多くは、私たちに身近な公園、港、大学のキャンパス、神社の境内などでした。この結果は、私たちの身近にも未知の生物が隠れていたことを示すものです。

関連リンク

https://www.toho-u.ac.jp/press/2021_index/20220228-1191.html