取組概要
近年、小児の食物アレルギーの増加傾向が続き社会問題となっています。この課題に対し、2021年8月に、滋賀県立小児保健医療センター(滋賀県アレルギー疾患医療拠点病院)と、龍谷大学農学部 食品栄養学科 小児保健栄養学研究室(楠隆教授)の共同研究により、滋賀県内の認可保育所・認定子ども園(計350カ所)を対象に食物アレルギー実態調査を実施しました。回答のあった261施設(回収率74.6%、対象児童数30,047名)の結果を、2013年に行った同一調査と比較検討しました。
成果
その結果、医師の指示書に基づき食物アレルギーと診断されている子どもは、6.1%から5.7%へと減少していました。特に2歳~0歳児では、いずれの年齢も減少していました。また、食品別では、特に鶏卵アレルギーの有症率が、4.6%から3.6%へと顕著に減少していました。
これまで食物アレルギーの予防としてアレルギー食品の摂取を遅らせる風潮がありましたが、2017年から2019年にかけて離乳食指導が大きく変わり、医師の指導のもと5~6カ月頃から鶏卵等の摂取が推奨されるようになりました。今回の調査結果からは、そうした国や小児アレルギー学会の指導に一定の成果があった可能性が示されました。今後は全国規模での調査が望まれます。