取組概要
脳オルガノイドは、構造・機能的に生体組織に近いことから疾患モデルへの応用が期待されています。慶應義塾大学医学部生理学教室の岡野栄之教授、嶋田弘子特任講師らのグループは、iPS細胞から脳オルガノイドの作製方法を改良し、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease; AD)患者由来iPS細胞から作製した脳オルガノイドにおいて、ADの主要な病理の一つであるアミロイドプラーク様の構造を再現することができました。また、アデノ随伴ウイルス(Adeno-associated virus; AAV)を用いて変異型タウタンパク質を脳オルガノイドに強制発現させることで、タウ線維形成を模倣した次世代型タウオパチーモデル脳オルガノイドを作製することに成功しました。
成果
これらの認知症モデル脳オルガノイドは、病理の一部を再現しているミニチュア脳と考えられ、認知症の病態メカニズムの解明、創薬スクリーニングや創薬候補の検証に応用できる有用な基盤技術となることが期待されます。
本研究成果は、2022年9月8日(米国東部時間EST)、学術科学雑誌 Cell Reports Methods オンライン版に掲載されました。