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東京都

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研究

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ゼミ

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連携なし

慶應義塾大学

摂取するタンパク質源の違いが腸内細菌を介して感染性下痢症の病態を変化させることを発見-食事と腸内細菌を標的としたClostridioides difficile感染症予防法開発に期待-

2022年10月4日

取組概要

慶應義塾大学、京都大学を中心とする研究グループは、抗菌剤投与後に摂取する食事中のタンパク質源の違いが、腸内細菌を介して Clostridioides difficile 感染症(CDI)の病態を変化させることを発見しました。本研究は慶應義塾大学大学院薬学研究科博士課程の矢加部恭輔(やかべ きょうすけ)、同薬学部の金倫基(きむ ゆんぎ)教授、京都大学を中心とする研究グループの成果です。

CDIは、抗菌剤投与による腸内細菌叢の乱れをきっかけに、 C. difficile が腸内で増殖し、毒素を産生することにより発症し、下痢・下腹部痛・発熱・白血球増加などを引き起こす感染症です。CDIに対しては、健常人の腸内細菌を患者に移植する便微生物移植(Fecal microbiota transplantation: FMT)が非常に有効であることから、CDIの発症や予防には腸内細菌叢が大きく影響しているといえます。腸内細菌叢の構成や、それらが産生する代謝物は、我々が日々摂取する食事によって変動します。そのため、摂取する食事成分の違いが腸内細菌叢を介してCDI病態を変化させるのではと考えました。

成果

本研究では、食事中に含まれるタンパク質源がCDI病態に影響を与えることを見出しました。すなわち、タンパク源として大豆タンパク質を摂取すると、カゼインを摂取した場合と比べて、 C. difficile の腸内での増殖が促進され、CDI病態が悪化することが分かりました。また、大豆タンパク質が腸内の Lactobacillus 属細菌を増加させ、その際に放出されるアミノ酸が C. difficile の増殖を促進させていることが分かりました。さらに、 Lactobacillus 属細菌によるアミノ酸産生には、タンパク質を菌体外で消化する酵素(PrtP)が関与していることも明らかとなりました。実際に、PrtP遺伝子を欠損した Lactobacillus 属細菌では、アミノ酸の産生能が低下し、 C. difficile の増殖促進作用も減弱しました。

CDIは、抗菌薬起因性の下痢症の20-30%を占め、入院患者で最も多い感染性下痢症です。CDIのリスク因子として、抗菌薬の他に、高齢・入院期間・プロトンポンプ阻害薬(胃酸分泌抑制)・基礎疾患などがこれまでに報告されていました。本研究により、抗菌剤投与後のCDIの発症や病状に食事成分、特に、摂取するタンパク質の種類が大きく影響することが明らかになりました。今後、食事に着目したより安全で簡便なCDI予防法の確立や、腸内のアミノ酸濃度を低下させる新規CDI予防薬の開発が期待されます。

本研究成果は2022年9月13日(米国東部標準時)に国際学術誌『Cell Reports』(電子版)に掲載されました。

関連リンク

https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2022/9/14/28-131827/
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