取組概要
慶應義塾大学理工学部のヴー・バン タン研究員と齊藤圭司教授は、熱環境にさらされた系における確率分布を考察し、2つの分布間距離を熱力学的不可逆性の度合いを使って解釈する関係式を見出しました。熱力学第二法則の根幹となる熱力学エントロピーと、状態間の動きやすさの度合いを示す量を導入することによって、熱環境にさらされた広範囲のダイナミクスが示す系の分布関数がこれらの量と密接に関連することが示されました。
成果
この発見は、熱力学的状態を動的に操作する際の操作時間を理解する上での基礎を与え、また、熱力学的な時間の矢の理解を深めます。さらに、熱環境下で動作するさまざまなデバイスにおける性能限界を理解する上で有用な知見を与えると期待されます。本研究成果は、2023年2月3日(現地時間)に米国物理学会誌「Physical Review X」のオンライン版にて公開されました。