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人体医療

立教大学

「老齢マウスを使って加齢にともなう記憶力低下の原因を解明」 -メラトニンの脳内代謝産物AMKに記憶力低下の改善薬として期待-

2024年1月25日

取組概要

立教大学スポーツウエルネス学部(埼玉県新座市、学部長:沼澤秀雄)の服部淳彦特任教授(東京医科歯科大学名誉教授)は、同学部の丸山雄介助教、加藤晴康教授、公立小松大学の渡辺数基日本学術振興会特別研究員(PD)、平山順教授、関西医科大学の岩下洸助教と共同研究を行い、老齢になると記憶力が低下する原因の一つがメラトニンの脳内代謝産物であり、短期記憶から長期記憶への記憶の固定に関与するAMKという物質の海馬における激減にあることを初めて突きとめました。

成果

1)老齢になると記憶力が低下するのは、海馬(記憶に重要な脳の部位)におけるN1-acetyl-5-methoxykynuramine(AMK)の低下が原因の一つであることを初めて明らかにしました。
2)AMKを1回投与すると長期記憶(記憶の固定)が誘導され、その時海馬において記憶形成に重要なタンパク質のリン酸化が誘導されることを明らかにしました。
3)老齢マウスと若齢マウスの海馬において発現している遺伝子を網羅的に解析した結果、長期記憶に関連する遺伝子群が老齢では有意に低下していることを明らかにしました。
4)この成果は、AMKが人においても加齢に伴う記憶力低下の原因の一つであり、AMKを基盤とした新薬の開発が、低下する記憶力の改善や認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)の改善薬につながる可能性を示すものであります。

【研究成果の意義】
本研究成果から、人においても老齢になると海馬におけるAMK量が低下し、そのことにより記憶力の低下が引き起こされている可能性が考えられます。メラトニンは海外では睡眠を促すサプリメントとして広く利用されており、人において副作用がほとんどないことがわかっています。高齢者の生活の質(QOL)を向上させるためには、記憶力低下の改善は重要な課題であります。AMKあるいはAMKを基盤とした新薬の開発は、加齢性の記憶障害や認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)における記憶力改善薬として期待されます。さらに人以外でも、ペットの高齢化への対処や警察犬や盲導犬の学習時の利用が考えられ、今後の展開が楽しみな物質であります。

関連リンク

https://www.rikkyo.ac.jp/news/2024/01/mknpps000002f4t0.html