取組概要
10月5日(土)、今年度より始動した「雑木林再生プロジェクト」のイベント「森を育む方法を学ぼう」が開催されました。
このイベントは、「雑木林再生プロジェクト」を一緒に進めてくれるサポーターを育てることを目的とした全5回シリーズの第3回で、学生・同窓生など約10人が参加しました。
成果
ICUのキャンパスは宝の山
イベントの冒頭には、本学の中嶋隆財務理事が、ICUのキャンパスに眠る知られていない宝物として、栃の実やピカンの実が取れることを紹介。「このキャンパスの自然には多くの宝が眠っています。どんな宝が眠っているのかと、ぜひ好奇心を持って楽しみながら探索して欲しい」と、参加者にメッセージを送りました。
人が手を加えて管理するのが雑木林
前半のレクチャーでは、雑木林再生プロジェクトの推進に協力いただいている特定非営利活動法人 NPO birthのスタッフの方が、「雑木林ってなんだろう?」と題したレクチャーを行いました。草原から陽樹林、陰樹林と時間経過とともに変化する植生遷移が紹介され、これに人が手を加えて、30年程度で陰樹林となる前に樹木を伐採して、植生遷移をリセットしながら保全を行うのが雑木林であるとの説明がなされました。
また、雑木林の生物多様性が失われる原因として、「自然に対する人間の働きかけの縮小」、「外来種など人間により持ち込まれたものによる危機」が紹介され、レクチャー後に実施が予定されている外来種の駆除活動の意義を説明しました。
外来種の駆除して生物多様性を維持する
イベント後半には、雑木林再生PJの活動場所で、「メリケンカルカヤ」、「セイタカアワダチソウ」、「オオブタクサ」などの外来種の引き抜きを行いました。この時期に花を咲かせ、種をまく外来種について、種がまかれる前に駆除することで、翌年以降の増殖を抑えることが可能となります。参加者たちは、小雨が降る中の森を探索しながら、90リットルのゴミ袋2袋分の外来種を引き抜きました。
参加した学生や同窓生からは、「レクチャーを聞き、現地で作業したことによって、これまでとは異なる視点でキャンパスが見えてきた」、「20年前の在学中、ただの風景でしかなかったキャンパスの自然が、どうなっているのか、知りたい、面白いと興味の対象となった。今後、この雑木林がどのように変わっていくのか、見ていきたい」などの感想がありました。
「雑木林再生プロジェクト」とは
ICUのキャンパスは、リベラルアーツ教育が行われる教育研究の森であると同時に、武蔵野の雑木林の面影が残る貴重な森林資源で、キンラン等の希少種を含む多様な動植物が生息・生育しています。しかしながら近年、樹木の老齢化やナラ枯れ病の蔓延などにより、雑木林の劣化が進んでしまっています。
こうした背景を受け、樹林の皆伐更新等を進めて、若い雑木林を再生し、本来雑木林が持っている生態系の復活を図ること、そして2023年に環境省の自然共生サイトに認定された「ICU三鷹キャンパスの森」を次世代に継承することを目的としています。