取組概要
関西大学人間健康学部の浦和男准教授は、本学図書館に所蔵される紙の資料を「地域資源」として再評価し、同資料の高精度デジタル化復元に取り組んでいます。高精度デジタル化技術で拡大することで、印刷のずれや目では読みとれない細部の描写が視覚に飛び込んできます。一枚の平面用紙に詰め込まれた、膨大な記憶を含んだ知的なデータとは・・・。
本プロジェクトでは、関西大学所蔵の学術資産である大阪(府下、府近郊地域を含む)の地域資料を地域活性の「資源」と捉え、資料類をデジタル化復元して公開し、地域活性に活用する方法を考察しています。
そのプロセスは次の通りです。
①戦前の地図や広告類を最新の技術を使って、細部まで正確に読み取れるようにデジタル化復元し、デジタル化資料を公開する。
②同資料を通じて、その地域に関する思い出や情報を掘り起こし、地域の知られざる姿を浮かび上がらせる。
③話をする過程を通じて、人と人、人と土地、土地と土地の新しい繋がりを創出し、地域に新しい活力を見出すきっかけを生み出す機会を提供する。
二次元平面の紙がデジタル化によって細部まで読み取れるようになることで、忘れていた記憶や思い出が不思議なほどに蘇ってきます。また、そのような記憶や思い出、その地域に関する情報をドキュメントとして記録に残す方法についても検討しています。研究チームは、人間健康学部、社会学部、総合情報学部、政策創造学部、環境都市工学部の3キャンパス5学部6人の専任教員から構成され、専門は、「比較文学」「社会変動論」「社会心理学」「都市計画論」「公共経営学」「知識情報学」と、文理融合の独創的なプロジェクト・チームです。
11月24日には、プロジェクト関連企画として、ワークショップ「戦前の堺市の資料を見て、堺を語ろう」を本学堺キャンパスにて開催します。同イベントでは、昭和10年堺市役所発行の『堺市鳥瞰図』(吉田初三郎作)の高精度デジタル化地図を公開します。約80年前に作者の吉田初三郎が「はるかなる後世のために、昭和の堺の印蹟を物語るなら、筆者末代までの幸福である」との強い思いで描いた地図を、現代技術の力で蘇らせます。
【研究プロジェクト名】
関西大学教育研究高度化促進費「大阪に関する地域資源の掘り起こし・再評価とDCH(Digitalised Cultural Heritage)化による繋がりの創出-関西大学図書館所蔵資料の活用」 (2018~2019年度)
【研究内容】
古い地域資料(主に地図)の高精度デジタル化復元
【関連企画】
関西大学と堺市との地域連携事業・ワークショップ「戦前の堺市の資料を見て、堺を語ろう」
〔日 時〕11月24日(土)14:30 ~ 16:30
〔場 所〕関西大学堺キャンパス SA204教室
成果
・地図、広告などの地域資源の活用により、人と人、人と土地、土地と土地の新たな繋がりを創出する
・平面の地図から、忘れられていた記憶や思い出、情報を掘り起こして、地域の姿を改めて見直す