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神奈川県

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研究

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他大学

関東学院大学

廃ゴム分解真菌のスクリーニングおよび分解メカニズムの解明

2020年7月3日

取組概要

現在、廃ゴムの処理は燃料利用が主であるが、地球温暖化対策と自然界の物質循環に適合する社会の構築のためには、廃ゴムの原型加工利用による有効なリサイクルが世界的に望まれている。そこで私たちは、難分解性物質リグニンを分解する真菌類に注目し、ゴムを効率的に分解する真菌の獲得と、その分解メカニズムの解明を目的として研究を行っている。本研究は数年で成果が出るような研究ではなく、30年後の産業界での実用化を目指して研究を行っている。
本学理工学部に所属する女性教員(研究者)は17名で、私はその一人となる。全教員数に対し女性研究者の割合は、今のところ19%となるが、男女問わず積極的に研究資金を獲得し研究に取り組んでいる。

成果

難分解性物質リグニンを分解する真菌類からゴム分解能を持つ菌種の探索を行った。自然界からの分離菌株を含む供試菌株およそ200株を用い、天然ゴムラテックス培地で生育の旺盛な4菌株をゴム分解候補株として獲得した。これら4候補株の簡易同定を行ったところ、Hypsizygus marmoreus、Polyporus arularius、Phanerochaete sp.そしてCeriporiopsis aurantitingens であった。これら4菌株のうち、H. marmoreus、Phanerochaete sp.そしてC. aurantitingensを用い、ゴムラテックス添加培地、固形ゴム添加培地で培養後のゴム分解産物の検出を行った。その結果、天然ゴムラテックスの平均分子量の減少、菌処理後の固形合成ゴム添加培地から分解物と思われる物質を確認した。また、ゴムラテックス添加培地、対象培地としてグルコース添加培地を用い、H. marmoreusあるいはPhanerochaete sp.を培養し、トランスクリプトーム解析を行った結果、リグニン分解酵素群のVersatile peroxidase、Peroxidase、Aldehyde oxidase、Alcohol oxidase、Glucose oxidaseをコードする遺伝子がゴムラテックス添加培地培養で多く発現することが判明した。このような成果を各学会で発表し、ゴム製品・タイヤ製造業界から多くの問い合わせをいただいている。

ゴム分解菌を用いた廃ゴムの原型加工利用による、有効かつ環境負荷の少ないリサイクル技術の開発の現実化へ向け研究を進めたい。


※この取組は、提言・事例集『私立大学理工系分野の研究基盤の強化と向上-科学技術イノベーションの推進に向けて-』で紹介した研究事例です。
詳細等は関連リンクをご覧ください。

関連リンク

https://www.shidairen.or.jp/topics_details/id=2822