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東京都

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研究

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東洋大学

下水や上水処理向け低温硝化技術の開発 ―低温耐性硝化細菌の集積培養と処理への応用

2020年7月20日

取組概要

冬場での下水処理では硝化が反応を律速し、対策として担体投入法が試みられている。しかし、13℃未満では処理性能が低下する傾向がある。本研究では、10℃以下で硝化処理できる菌群の集積培養方法の確立と、処理性能を明らかにすることを目的とした。

5℃で高活性に発現する硝化菌群の集積培養方法(特許登録番号616120)を見出し、低温耐性硝化菌群を固定化した包括固定化微生物担体を作製した。この担体を用い5~10℃連続処理で硝化性能を検証した。下水処理向け低温硝化を合成無機廃水(NH4-N40mg/L含有)での長期処理運転で検証し、5~10℃で硝化活性が持続し実廃水処理への適用が可能である事を見出した。  硝化反応(NH4→NO2酸化)

成果

低温耐性菌を馴養後、下水処理向け低温硝化を想定したアンモニア含有合成廃水(NH4-N40mg/L)での処理安定性を検討し、6年間にわたり水温5~10℃で安定した硝化処理が可能であることを見出した。また、四季の水温変化においても低温耐性硝化の安定性を検証した。さらに応用展開として、低温耐性硝化細菌を用いた河川水中のアンモニア除去も検討した。NH4-N0.1~5mg/Lの河川水を低水温下の滞留時間15分で0.02mg/L以下に高速処理できた。冬場において浄水場でのアンモニア除去が問題になっており、浄水場での活用が期待されている。菌叢をリアルタイムPCRで解析したところ、アンモニア酸化細菌(amoA)が8.85×10⁵copies/g-担体で、comammox Nitrospiraが2.05×10⁷copies/g-担体を得た。comammox 菌群が多く棲息しており、この菌群が低温硝化に関与していることが示唆された。
特徴
①5℃で耐性のある硝化細菌群は広く分布しており、開示特許により容易に集積培養が可能
②固定化することにより4~10℃で長期間活性を維持
③硝化速度0.1~0.3kg-N/m3・d(52~156mg-N/h・L-担体)で低温高速硝化
特許登録番号616120(登録日2017年6月23日)

下水処理、上水処理、産業廃水処理、養豚廃水処理、水圏浄化、観賞魚水槽の浄化などへの活用が期待されている。


※この取組は、提言・事例集『私立大学理工系分野の研究基盤の強化と向上-科学技術イノベーションの推進に向けて-』で紹介した研究事例です。
詳細等は関連リンクをご覧ください。

関連リンク

https://www.shidairen.or.jp/topics_details/id=2822