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東京都

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取組内容

研究

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他大学, その他

日本大学

二酸化炭素分離・回収技術の開発

2020年7月21日

取組概要

地球温暖化対策技術の一つとして、二酸化炭素を分離回収し、地中に隔離貯留するCCS技術の開発が進められているが、現状の技術では、吸収液再生時におけるエネルギー消費が著しい。また、天然ガス採掘の井戸元で炭化水素を分離回収する際、不要な二酸化炭素と同時に、エネルギーとして利用可能な天然ガスの大半が回収されてしまい、その後の分離も困難である。そこで、環境調和性に富む新規ガス吸収液(イオン液体)を合成し、二酸化炭素及び炭化水素の溶解メカニズムや選択性を解明するとともに、社会実装に向けてプロセス全体の評価を進め、イオン液体を利用した二酸化炭素分離・回収プロセスの実現を目指す。

安価で、高いガス分離能を指向したイオン液体を新たに合成し、二酸化炭素だけなく炭化水素のガス溶解メカニズムや吸収選択性を評価する。一般的にイオン液体へのガスの溶解には、エンタルピーの寄与とエントロピーの寄与があることが知られており、例えば、イオン液体のカチオンにプロトン性を付与することによって二酸化炭素吸収量は落とさず(エンタルピー的な寄与で補償)、エントロピー的な寄与により炭化水素ガスの吸収量を減少させてガス分離能を向上させる。イオン液体を利用した物理吸収法では、圧力変化のみで吸収液を再生可能であることから、省エネルギー面での優位性が高く、単位体積当りのガス吸収量増加だけでなく、二酸化炭素と炭化水素とのガス分離選択性向上も期待できる。イオン液体のガス吸収特性評価は、我々の研究グループで開発した高圧溶解度測定装置など独自の測定技術や実験装置を駆使しながら進める。また、シミュレーションにより、エネルギー効率など分離・回収プロセス全体のコストを試算する。

成果

アミド型構造を持つプロトン性イオン液体の二酸化炭素/メタン吸収選択性を検討した結果、既存ガス吸収液のSelexolに勝ることを明らかにした。また、測定データに基づき、石炭ガス化複合発電から排出されるガスの処理についてシミュレーションした結果、エネルギーコストを10%削減できることも分かった。

より一層、国内外の大学や研究機関、企業との共同研究を進めることによって、本技術の社会実装を実現し、COP21で採択された気候変動に関する国際的枠組みであるパリ協定の実現や国連が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」に寄与していく。


※この取組は、提言・事例集『私立大学理工系分野の研究基盤の強化と向上-科学技術イノベーションの推進に向けて-』で紹介した研究事例です。
詳細等は関連リンクをご覧ください。

関連リンク

https://www.shidairen.or.jp/topics_details/id=2822