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関西学院大学

超高色純度の有機ELディスプレイ用青色発光材料開発に成功

2020年7月20日

取組概要

有機EL(OLED)ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較して映像の鮮明さ等に優れ、スマートフォン、テレビ、業務用モニター等の用途で実用が進んでいる。ディスプレイの色彩表現は、光の三原色である赤・緑・青色の発光を混合することにより実現しているが、それぞれの色純度が低いと、再現できない色ができてしまい、ディスプレイの画質(色再現性)が低下する。市販のディスプレイの場合、発光スペクトルから不必要な色を光学フィルターで除去することにより、色純度を高めてから(スペクトル幅を狭くしてから)使用している。これまで有機ELディスプレイに用いられてきた発光材料は、発光スペクトルが幅広であり、光学フィルターによる不必要な色の除去を行う割合が多く、ディスプレイの輝度や電力効率が低下してしまうという問題がある。また、フィルターによる色純度の向上には限界があるため、ディスプレイの広色域化が難しいという問題もあり、色純度が高い発光材料の開発が望まれている。畠山教授(理工学部)らの研究チームは、極めて色純度の高い有機系青色発光材料を開発することで、これらの問題を解消すると共に、さらに優れた特性を持つ発光材料を開発するための設計指針を与えるものである。

成果

本研究で開発された高色純度青色発光材料「DABNA」は、その優れた特性から、現在、多くのスマートフォンやテレビの有機ELディスプレイに実装されている。DABNAを用いたディスプレイは、従来の発光材料を用いたディスプレイと比較して、高輝度化、低消費電力化、ブルーライトの低減され、その普及に大きく貢献している。また、ごく最近になって開発した「n-DABNA」は、カドミウム系量子ドットやハロゲン化鉛系ペロブスカイトなどの無機発光材料をも凌駕する超高色純度の青色蛍光を示すことに加えて、優れた熱活性化遅延蛍光特性を有しており、青色発光素子の性能がボトルネックとなっている有機ELディスプレイの飛躍的な高性能化が期待できる。

本研究で打ち出した設計指針の下で、国内外の材料およびディスプレイメーカーで研究開発が盛んに行われており、スマートフォンやテレビのみならず、車載モニター、PCモニター、VR/ARといった多くの応用が期待できる。


※この取組は、提言・事例集『私立大学理工系分野の研究基盤の強化と向上-科学技術イノベーションの推進に向けて-』で紹介した研究事例です。
詳細等は関連リンクをご覧ください。

関連リンク

https://www.shidairen.or.jp/topics_details/id=2822