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東京都

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研究

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上智大学

次世代光学素子を目指した有機無機ハイブリッド材料の開発

2020年8月3日

取組概要

有機物と無機物を複合化させた有機-無機ハイブリッド材料は、世の中に数多く存在する。例えば私たちの体の骨格を形成している生体骨はその代表であり、有機物であるコラーゲンと無機物である水酸アパタイトが複合化することで、強靭性と柔軟性をもつことが知られている。一方、人工的に合成される有機-無機ハイブリッド材料も数多くある。本研究では、有機-無機ぺロブスカイト化合物という人工的に合成される有機-無機ハイブリッド材料に着目し、有機、無機単独では実現しえない光学特性を発現させ、次世代に向けた光学素子への応用の礎を築くことを目的としている。

有機-無機ぺロブスカイト化合物は、ハロゲン化金属(MX2、M: 二価金属、X: ハロゲンイオン)と有機アミンハロゲン化物(RNH3X)を複合化して得られ、(MX6)4-八面体を構成単位とする一連の物質群である。ペロブスカイト型化合物の特徴はその構造多様性にあり、ハロゲン、金属、有機アミンを変化させることにより、様々な電気的、光学的特性を有する化合物を自在に合成することができる。2009年に宮坂力教授によって、太陽電池の新規吸収材料として報告された。2012年以降、発電効率が急速に改善され、現在では25%を達成し、現在では世界における太陽電池開発の主役ともいえる存在となっている。太陽電池の開発において、現在の主な研究対象である三次元ペロブスカイト化合物は、耐湿性に問題がある。本研究では、ぺロブスカイト化合物の構造を二次元平面に広げた二次元ペロブスカイト化合物がより安定性に優れることを見出し、さらにその結晶構造を制御することで、素子に有利な構造の設計を行った。

成果

太陽電池の開発において、現在の主な研究対象である三次元ペロブスカイト化合物は、耐湿性に問題がある一方、二次元ペロブスカイト化合物はより安定性に優れる。しかしながら、二次元ぺロブスカイトでは、基板に対してペロブスカイト層が水平に配向するため、電気が流れにくいという欠点があった。研究によって、二次元ぺロブスカイトの垂直配向性が向上し、電気が流れやすくなることにより、ペロブスカイト太陽電池の安定性向上ならびに長寿命化への貢献が期待できる。

有機-無機ぺロブスカイト化合物は太陽電池のみならず、発光材料や水素発生材料、円偏光発光素子など、その光学特性を活かした多様な応用に期待が高まっている。材料コストが低く、高純度な材料を得やすく、簡便に合成できることから、これからの光学材料として、さらに注目が高まっている。多くの関連研究者との連携により、精力的に研究を行っている。


※この取組は、提言・事例集『私立大学理工系分野の研究基盤の強化と向上-科学技術イノベーションの推進に向けて-』で紹介した研究事例です。
詳細等は関連リンクをご覧ください。

関連リンク

https://www.shidairen.or.jp/topics_details/id=2822