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東京都

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取組内容

研究

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連携なし

東京農業大学

加齢個体由来卵子の質改善に関する研究

2020年8月4日

取組概要

加齢に伴い動物は、出産の可能性が低くなる。これは、加齢によりミトコンドリアの質が低下し、卵子の能力が低下することが原因である。他にも和牛生産には凍結保存した胚移植が行われるが、凍結保存が、ミトコンドリアに損傷を与え、受胎率を低下することが課題になっている。そこで、ミトコンドリアの管理機構を制御する手法を開発し、加齢や凍結による胚のミトコンドリアの回復を促し、その質を改善して受胎率を高めることを研究の目的としている。

加齢に伴って動物の妊娠する能力が低下することは、広く知られている。これらの原因としては、加齢により卵子や胚中のミトコンドリアの量や質が低下すること、ミトコンドリアの質を維持するための管理機構が劣化していることが判明した。研究ではこの点に着目し、ミトコンドリアの質を改善するための方法とそのメカニズムの解明に取り組んだ。卵や胚のミトコンドリア数をコントロールする機構には、SIRT1(ヒストン脱アセチルか酵素)という酵素が重要な働きを持ち、これを活性化させる仕組みとして「レスベラトロール処理」が有効である事が明らかになった。この処理法によりミトコンドリアの合成や分解を活性化し、結果として含まれるミトコンドリアの質を改善し、卵や胚の質改善に貢献する事実が確認された。このことは、ミトコンドリアが損傷を受ける処理、例えば生殖医療や畜産現場で広く用いられている凍結保存処理にも有効と考えられる。さらに、凍結前後の胚や卵子をレスベラトロール処理することでその後の受胎率の改善に大きく貢献することも確認している。

成果

簡単な処理によって胚や卵のミトコンドリアの質が改善するという研究成果は、畜産現場においては胚の凍結に応用可能であると考えられる。現在、胚移植は、乳牛を活用した和牛の生産に必要不可欠であり、移植の大部分を占める凍結胚の低受胎率が大きな課題である。そこで、この方法を現場にて試し、受胎率改善が確認できたことから、今後の活用が有効であるといった声が寄せられている。
生殖医療においては、妊娠を希望する女性の高齢化のため、受胎率が低く、卵子の質改善が求められている。その主原因と考えられているミトコンドリアへのアプローチは卵子や胚の質改善に有効と考えられることから、今後の医療における高齢女性の卵子や胚の質改善への活用も期待されている。

ミトコンドリアは加齢に伴って発生する様々な症状の遠因となっており、加齢に伴うミトコンドリアの品質管理機構の弱体化やその対処方法は、生殖医療以外の分野にも貢献できると考えている。


※この取組は、提言・事例集『私立大学理工系分野の研究基盤の強化と向上-科学技術イノベーションの推進に向けて-』で紹介した研究事例です。
詳細等は関連リンクをご覧ください。

関連リンク

https://www.shidairen.or.jp/topics_details/id=2822
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