取組概要
南山大学人類学研究所の中川朋美博士研究員・中尾央准教授と岡山大学文明動態学研究所の松本直子教授ら、東北大学の田村光平助教、国立歴史民俗博物館の松木武彦教授らの研究チームは、弥生時代中期(紀元前 350 年~紀元 30 年)に北部九州で起こった争いの原因を検討し、人口圧(生活を支える経済活動に対して人口が過剰となることで人々が感じるストレス)が一つの重要な要因であることを明らかにしました。
成果
本研究では、弥生時代中期の北部九州で広く見られる甕棺(かめかん)と呼ばれる墓の数から推定された人口圧と、骨に残された傷から推定された争いの頻度の関係を統計的に考察しました。その結果、人口圧が高くなれば争いの頻度が増加するという傾向が見られたことから、人口圧が争いを増加させる要因であったことを明らかにしました。
「ヒトがなぜ争うか」という問いの要因を解明していくことで、争いを減らすためにはどのような社会・環境を作っていけばよいかを考える足掛かりになると考えられています。
また本研究のように考古学的証拠を量的に表現・検討することで、日本だけでなく、海外のデータとの国際的な比較も進んでいくことが期待されています。