取組概要
先端理工学部 村川秀樹 准教授らの研究グループが、細胞パターン形成の過程を記述する新しい数理モデルを創出し、計算機上でシミュレーションをするための数値計算手法を開発しました。
耳や鼻といった動物の感覚器官を顕微鏡で覗くと、数種類の細胞が作る規則正しい幾何学的な模様が現れます。この規則的な細胞パターンが、外界からの刺激を感知する上で重要な役割を果たしていると考えられています。しかし、細胞がどのように安定的にパターンを作り出すことができるのか、その仕組みについてまだ謎が多く残されています。この謎に対し、神戸大学大学院医学研究科 富樫英 助教の研究グループはこれまでに行った実験から、細胞タイプによって細胞間に働く接着力の違いが生じ、この接着力の違いによりパターンが作られるのではないか、という仮説を立てました。そこで、京都大学大学院理学研究科 カレル・シュワドレンカ准教授、ルダイナ・モハマド同研究員(現:フィリピン大学助教)と本学先端理工学部 村川秀樹 准教授の数学研究グループは、この仮説を数理的に検証することを試みました。細胞パターン形成の過程を記述する新しい数理モデルを創出し、計算機上でシミュレーションをするための数値計算手法を開発しました。
成果
実際の測定値に基づいた数値シミュレーションの結果、感覚器で見られる細胞パターンを再現することに成功しました。感覚細胞のパターン形成メカニズムが解明され、感覚障害等の疾病の治療にも役立つかもしれません。