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東京都

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研究

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ゼミ

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連携なし

慶應義塾大学

腸内細菌の栄養源となる二つの糖の協調作用が肥満を抑制-腸内細菌利用糖の組合せによる新規プレバイオティクス開発に期待-

2022年7月21日

取組概要

慶應義塾大学の研究グループは、腸内細菌によって利用される二つの異なる糖が特定の腸内細菌に協調的に作用することにより高脂肪食誘導性の肥満を抑制することを発見しました。本研究は慶應義塾大学大学院薬学研究科修士課程の冨岡佐和子(とみおか さわこ)(研究当時)、慶應義塾大学薬学部の関夏実(せき なつみ)特任助教(研究当時)、金倫基(きむ ゆんぎ)教授を中心とする研究グループの成果です。

食物繊維に代表される難消化性・難吸収性の糖類は、体内へ取り込まれずに腸内細菌の栄養源となることから、腸内細菌利用糖(Microbiota-Accessible Carbohydrates: MACs)と呼ばれています。MACsは腸内環境を改善し、健康維持や疾患予防に寄与することが知られています。MACsには多様なものがありますが、それぞれのMACsの特性、すなわち、各MACが腸内環境や宿主生理機能に与える影響の違いについては詳細な解析がされていません。

L-アラビノースは、トウモロコシや米・小麦などの穀物の繊維質に含まれる単糖で、小腸から吸収されにくい性質を持っています。また、L-アラビノースにはスクロース(ショ糖)の消化に関わるスクラーゼという酵素の活性を阻害することも知られています。

本研究では、L-アラビノースとスクロースを同時に摂取すると、どちらもMACsとして機能し、特定の腸内細菌に協調的に作用することにより、有益な腸内細菌代謝物として知られている短鎖脂肪酸である酢酸・プロピオン酸の産生を相乗的に促進させ、高脂肪食誘導性の肥満を抑制することを明らかにしました。また、腸内細菌の酢酸産生において、L-アラビノースとスクロースが異なる代謝経路を活性化することも新たに解りました。

成果

スクロースを主成分とする砂糖は料理等に多用されていますが、過剰摂取により肥満のリスクを高めます。スクロースを多く含む食品とともにL-アラビノースを摂取すると、スクロースの消化・吸収が抑えられるだけでなく、二つの糖の協調作用により腸内環境も改善され、肥満を抑制できる可能性が本研究から示唆されます。

腸内環境を改善する方法として、代表的なMACsである食物繊維を摂取することが挙げられますが、これまで各MACの持つ機能の違いについては詳細に検証されていませんでした。本研究により、複数のMACsが腸内環境改善に協調的・相乗的な作用を発揮し得ること、各MACが腸内細菌(環境)に異なる影響を及ぼすことが解りました。またこれらのことから、適切なMACsを摂取することにより、個人に応じた腸内環境を構築できる可能性も示唆されます。

本研究成果は2022年7月19日(米国東部標準時)に国際学術誌『Cell Reports』(電子版)に掲載されました。

関連リンク

https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2022/7/20/28-125756/
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