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実施地域

東京都

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取組内容

研究

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実施体制

全学

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連携状況

連携なし

順天堂大学

長距離走のような「きつい」運動のパフォーマンスに関わる脳内メカニズムを明らかに

2022年8月25日

取組概要

順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科の月岡惠惟 大学院生(研究当時。令和4年3月31日修了)、山中航准教授、和氣秀文教授の研究グループは、長距離走など「きつい」運動を行なったときの「運動限界」を決める脳内メカニズムの一部を明らかにしました。
運動による疲労には、骨格筋に代謝産物(疲労物質)が蓄積して起こる「末梢性疲労」と、脳内で生じる「中枢性疲労(※)」があります。長距離走のような長時間・高強度運動において、アスリートの成績(パフォーマンス)を制限する大きな要因の一つとして、「苦しい」や「つらい」といった情動(心の動き)がありますが、こうした「負の情動」は運動に対するモチベーションを低下させ、疲労困憊(中枢性疲労)を導く要因になるものの、その発生機序についてはよく分かっていませんでした。一方で、情動は心拍数や血圧応答など、自律神経機能に密接に関連していることがわかっています。研究グループは、負の情動の発生や自律神経機能を調節する扁桃体中心核が、運動時の中枢性疲労に関与する脳部位であるという仮説を立てました。
これを検証するために、扁桃体中心核の機能の喪失前後で最大運動負荷試験を行い、運動時の循環応答と最大運動時間について調べました。また別の実験において、扁桃体中心核の興奮が下肢骨格筋 である腓腹筋の血流調節に及ぼす影響についても検討しました。

(※)中枢性疲労:脳が原因で筋力低下や運動パフォーマンスの低下が起こること。

成果

本研究では、ラットを長時間走らせると疲労困憊に達する前に血圧が上昇しましたが、苦しみやつらさを感じとる脳領域(扁桃体中心核)の機能を部分的に喪失させると、血圧上昇のタイミングが遅れるとともに、運動継続時間も長くなることがわかりました。
またその機序として、扁桃体中心核の興奮(過剰な働き)により、運動の継続に必要な血液循環調節(活動している筋肉に必要な血液を送ったりすること)が破綻してしまうことが示唆されました。
本研究成果を参考に、扁桃体機能や自律神経活動をモニタリングしながら行うメンタルトレーニング法が開発されれば、アスリートの運動能力向上に貢献するものと期待されます。

関連リンク

https://www.juntendo.ac.jp/news/20220804-01.html