取組概要
慶應義塾大学、国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院および国立国際医療研究センター病院の研究グループは、治療開始前の赤血球パラメータ(赤血球数、ヘマトクリットあるいはヘモグロビン)およびBRCA1/2変異がオラパリブ療法による重篤な貧血発症を事前に察知できることを発見しました。本研究は慶應義塾大学大学院薬学研究科博士課程3年の田代亮太(たしろ りょうた)、同薬学部の河添仁(かわぞえ ひとし)准教授、中村智徳(なかむら とものり)教授、我が国のがん治療を先導する国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院および国立国際医療研究センター病院の3施設に よる多施設共同研究グループの成果です。
成果
現在、国民の2人に1人はがんに罹患し、3人に1人はがんで死亡する時代となりました。中でも乳がんは日本人女性9人に1人が罹患します。オラパリブ療法は乳がん、卵巣がんを始めとするさまざまながんにおける標準治療です。オラパリブ療法の頻度の高い副作用の一つに貧血がありますが、どんな患者に起こりやすいのかということがわかっていません。そのため、 「高リスク患者」の早期発見とその治療マネジメントが非常に重要になります。本研究成果はこの「高リスク患者」の早期発見とその治療マネジメントに繋がることが期待されます。
本研究成果は、2022 年10月4日に国際学術誌『Frontiers in Oncology』(電子版)に掲載されました。