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東京都

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研究

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慶應義塾大学

くも膜下出血の予後を決定する急性期の広範な大脳皮質の神経炎症を発見-くも膜下出血による神経細胞死を防ぐ治療としての応用に期待-

2022年12月16日

取組概要

慶應義塾大学医学部脳神経外科学教室の山田浩貴助教、戸田正博教授、同生理学教室の加瀬義高助教、岡野栄之教授らの共同研究グループは、くも膜下出血の発症早期に大脳皮質全体に神経炎症が及ぶことにより、神経細胞死が引き起こされ、重症となることを明らかにしました。

くも膜下出血は、脳動脈瘤の破裂によって発症し、現代でも死亡率が高い疾患であり、完全に社会復帰できるのは全患者の約1/4に過ぎないという重篤な疾患です。また、破裂した動脈瘤が再破裂しないようにするための外科手術は確立していますが、神経細胞に障害が生じないように保護をするような治療法は確立していません。

本研究グループは、重症度別のくも膜下出血のモデルマウスを作成し、発症24時間後に大脳皮質全体に広範な神経炎症、並びに神経細胞死が生じていることを発見しました。これまで、くも膜下出血の発症72時間以内の早期の障害が重要であることは注目されていましたが、障害部位は出血が起きた部位に限定されず、脳全体に神経炎症が波及して、神経細胞死が起きていることはわかっていませんでした。

成果

大脳皮質は運動機能や長期記憶などの高次脳機能を担っているため、その保護は非常に重要であり、本研究結果は、くも膜下出血発症後の超急性期での大脳皮質全体の炎症抑制が効果的であることを示唆する結果です。また、大脳皮質が広範囲に傷害されることが、くも膜下出血後の社会復帰を妨げる重篤な症状を説明できる病態の一つと言えることがわかりました。

将来的には超急性期における神経炎症抑制がくも膜下出血の治療戦略として臨床応用されることが期待され、研究グループはどのように神経炎症を抑えれば効果的な治療なのか、検討を始めています。本研究成果は、2022年12月14日(日本時間)に国際学術雑誌 Inflammation and Regeneration に掲載されました。

関連リンク

https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2022/12/14/28-134017/

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