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実施地域

東京都

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取組内容

研究

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実施体制

学部・学科

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連携状況

地方自治体・国, 企業

法政大学

植物病の画像による自動診断技術の開発

2020年7月10日

取組概要

農業生産の現場において、植物の病気の的確な診断は適切な防除対策のために重要である。一方で診断においては似て非なる病気や、非典型例への対応が必要となり、長年の経験と熟達した技術が必要となるが、人材が限られるとともに時間的金銭的コストが課題となっている。このため、初心者でも簡便に的確に植物病の診断ができるシステムの開発が求められている。画像による診断支援については、ヒトの医療分野において開発が進められ実用化されているが、植物病の診断目的での研究はこれまで国内外でほとんどなされていない。近年AI技術のひとつである深層学習技術が発達してきており、社会の様々な分野で応用されてきている。そこで、植物病害の病徴画像を用いて自動診断する実用性の高い簡便なシステムの開発を目指す。これにより、わが国における新規就農者の確保や、より高度化、効率化した農業の確立を目指す施策に資するものと考えられる。

深層学習においては、大量かつ多様なサンプルデータが必要となる。本研究では、埼玉県を始めとした各県の公設試験場の協力のもと、植物病のモデルとなる画像を多数収得し、精度の高い病害診断の識別器を構築する。手法としては深層畳み込みニューラルネットワークを使用する。対象作物の病害の画像を訓練データとして学習させて識別器を構築し、これに評価データの画像を入力して結果を検討することで精度を確認し、各病害診断に最適となるようプログラムを行う。構築されたシステムについて、環境の異なる場所で発生した病害について実証試験を行いフィードバックを得る。これを指標に、過学習を抑制する独自のデータ拡張手法等を開発、導入することで、頑健かつ高精度な識別器の実現を目指す。

成果

本研究では数万枚の病害の画像を深層学習装置に導入し、キュウリの12種の病害に対して交差検定法により平均9割程度の識別器を構築した。現在、プロジェクト研究内において、デモサーバを構築して実証試験を行なっており、精度向上の検討を進めている。プロジェクト終了後には現場で利用可能なアプリを提供する予定となっている。

本研究が作物の病害診断のモデル系となることで、他の作物への展開が可能となる。本プロジェクト研究において、野菜・果樹等の作物への応用研究も開始しており、現場で利用可能な簡便な診断システムが提供されることが見込まれる。


※この取組は、提言・事例集『私立大学理工系分野の研究基盤の強化と向上-科学技術イノベーションの推進に向けて-』で紹介した研究事例です。
詳細等は関連リンクをご覧ください。

関連リンク

https://www.shidairen.or.jp/topics_details/id=2822