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関西学院大学

宇宙で最初に生まれた星々の発見に挑戦 ~NASAのロケット使い 宇宙赤外線背景放射を観測

2021年6月14日

取組概要

関西学院大学理学部の松浦周二教授(赤外線天文学)の研究室と九州工業大学、東京都市大学、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などでつくる国際研究グループは、米国のホワイトサンズ・ミサイル実験場(ニューメキシコ州)から2021年6月7日0時25分(米国山岳部標準時)に打ち上げられた米国航空宇宙局(NASA)のロケットで、初期の天体の解明を目指した観測実験を行いました。2009年から2013年まで計4回の打ち上げで進めたロケット観測実験CIBER(Cosmic Infrared Background ExpeRiment)の成果をふまえた実験で、プロジェクト名は「CIBER-2」。地上の望遠鏡では捉えられない遠くの星について、星々から出る赤外線を合わせた「宇宙赤外線背景放射」の観測から、宇宙で最初に生まれた星や原始ブラックホールなどの宇宙初期天体を調べようというものです。

成果

今回のロケットに載せたのは、CIBER実験の10倍高い感度を得るため新たに開発した反射望遠鏡。地球の大気の影響を受けない高度325㎞まで打ち上げ、落下するまでのうちの約5分間、宇宙背景放射を観測しました。CIBER-2では、CIBERではなし得なかった可視光から近赤外線にかけた多波長でのゆらぎの観測をより高い精度で行っており、今後、宇宙初期天体の痕跡を探すために、取得したデータを解析していきます。

CIBER-2では、CIBERより短い波長の可視光を含む広範囲の波長をカバーしており、今回初めて行う可視光での観測が加わることで、初期天体に特有な「ライマンブレーク」と呼ばれるスペクトル形状※注4から、宇宙赤外線背景放射への初期天体の寄与率を明確にすることができるようになります。

今回の打ち上げによる科学成果については、データ解析を十分に行わなければ何とも言えませんが、1回が短時間の実験だけに、繰り返しによる精度の向上は必要なものです。今回、パラシュート回収した観測装置はロチェスター工科大学へ運搬し、内部の確認作業を行います。日本チームは新型コロナの影響により今回の打上げに立ち会えませんでしたが、多くを日本で製作した装置なので、私たちも遠からず現地へ赴いて確認作業や動作確認実験を実施したいと希望しています。観測装置に大きな問題がなければ、今後も年に1回のペースで実験を進めてゆく予定です。

関連リンク

https://www.kwansei.ac.jp/news/detail/4346