取組概要
東邦大学医学部リハビリテーション医学研究室 大坪優太レジデント、宮城翠助教、同医学部口腔外科学研究室 関谷秀樹准教授、同医学部内科学講座神経内科学分野 狩野修教授、東北大学大学院医学系研究科 障害科学専攻 機能医科学講座 内部障害学分野 海老原覚教授らの研究グループは、同グループが考案した味覚リハビリテーション法により、健常者の味覚感受性が向上することを報告しました。
成果
高齢化とともに味覚障害患者は増加してきましたが、近年ではCOVID-19感染後に味覚障害が残存する患者がいることが報告されており、今後、さらに味覚障害患者が世界的に増加することが危惧されています。一方で、味覚障害に対する明確な治療法は現在、存在しておらず、味覚障害に悩む患者は少なくありません。そこで、研究グループは新たな治療法として味覚リハビリテーション法を考案し、健常者でその効果を検証しました。
研究グループが考案した味覚リハビリテーション法は、4つのステップからなり、ステップ1で濾紙ディスク法(※)により味覚認知閾値を計測し、ステップ2で味覚認知閾値の1つ濃い濃度を記憶させ、味覚認知閾値の味と照合させます。ステップ3で味覚認知閾値の1つ濃い濃度の味を記憶させ、味覚認知閾値の1つ薄い濃度の味と照合させます。ステップ4で味覚認知閾値の味を記憶して味覚認知閾値の1つ薄い濃度の味と照合させるという一連のサイクルを実施します。
研究では、対象者は21名ずつの2群に分けられ、一方の群は味覚リハビリテーション法を実施する群(リハ群)、もう一方は味覚リハビリテーション法を実施しない群(非リハ群)としました。結果、リハ群では経時的に、甘味、塩味、酸味、苦味の4つの基本味とも味覚の感受性が有意に高まりました。
また、両群の最初の味覚認知閾値に有意差はありませんでしたが、4日目の時点でリハ群は非リハ群と比較して有意に味覚感受性が高まりました。この結果から、味覚リハビリテーション法は味覚感受性を向上させる可能性があることが示され、味覚障害を改善させる治療法の一つになることが期待されます。
(※)濾紙ディスク法
味覚検査方法の一つ。4類の基本味(甘味、塩味、酸味、苦味)を5段階に希釈した溶液を濾紙に浸して薄い濃度から舌に順番に載せ、認識できた濃度を認識閾値とする検査方法で、認識閾値が低いほど、味覚感受性が高く、味覚が優れていることを表します。